葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

日本と韓国の「深い相互理解」にために何よりもまず必要なこと

日韓両首脳がパートナーシップとしての友好協力を誓った日韓共同宣言から8日で25年を迎えた。政治、経済、文化など幅広い交流拡大を盛り込んだ行動計画が作られ、日韓関係が進展する土台となった。ただ歴史認識は今も敏感な課題であり続けている。

歴史認識などで日韓になお隔たりがあることはわかっているが、「結局、お互いが仲良くならないと歴史の問題も冷静に話し合えない」。

交流の積み重ねを経て、日韓の互いを見る視線は大きく変わった。

日韓の若者交流に携わってきた桂島宣弘・立命館大学名誉教授は「K-POPやアニメが好きというだけでは一方通行になってしまう」とした上で、「政治とは異なり、人的交流は不可逆的なもの。この25年で互いに顔の見える関係性が確実に増えた」と話す。

春日井さんが講義で「日本でも愛国心を育むような教育を考えてはどうか」と発言したことに、韓国人学生が激高。過剰な反応に戸惑った。

共同宣言が交流を進める基礎として強調したのは「両国国民の深い相互理解と多様な交流」だった。ソウルで韓国人学生の日本企業への就職を支援する会社の代表を務めている春日井さんは、歴史問題などについて互いの立場や意見を理解し、尊重しあうことが「相互理解」だと考えているが、「そういう意味の相互理解は進んでいない」。

答えは見つかっていないが「結局、両国間の往来を草の根的に増やし続けるしかない」。

交わり、深まる 日韓25年 共同宣言が掲げた「深い相互理解」道半ば:朝日新聞デジタル

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「交流の積み重ねを経て」も歴史問題が「今も敏感な課題であり続けている」のは、ある意味当然だといえます。なぜなら、「交流の積み重ね」は日本人が日帝の朝鮮植民地支配とその下での人権侵害という自国の「負の歴史」を忘却することの「免罪符」にはならないからです。交流の積み重ねを経て、はたして日本人の韓国を見る視線、そして自国に対する認識は根本的に変わったといえるでしょうか。

「日韓の相互理解が進まないのは、日本が歴史問題について反省し謝罪しているのに、それを韓国が受け入れないからだ。つまり、韓国人の多くが歴史問題について日本の立場や意見を理解しようとしないから、日韓の相互理解が進まないのだ。」と考える日本人も少なからずいるでしょう。しかし、本当に日本が歴史問題について反省しているのであれば、政府が日本軍性奴隷制(日本軍「慰安婦」)問題や日帝強制動員(徴用工)問題において日帝による朝鮮植民地支配を合法であるとして政府や被告企業の法的責任を否定したり*1、政府や極右主義者たちが「女性の尊厳と人権」を象徴する「平和の少女像」を敵視したり*2はしないはずです。つまり、日韓の相互理解が進まないのは、韓国人の多くが歴史問題について日本の立場や意見を理解しようとしないからではなく、日本が歴史問題について真摯に反省しないという現状を日本人の多くが正しく認識せず、韓国人の無理解のせいにしているからなのです。

「日本でも愛国心を育むような教育を考えてはどうか」という日本人の発言に対する、「加害国が愛国教育をすべきだと言うのか」という日本帝国主義が未だ克服されていないことを考えれば至極当然といえる韓国人学生の抗議について、日本人が「激高」や「過剰な反応」という表現を用いて描写するのも、日本人の韓国を見る視線が根本的に変わってはいないからです。つまり、相変わらず韓国を「冷静で理性的なわれわれとは対照的な、感情的で野蛮な彼ら」という植民地主義のまなざしで見ているのです。日本人が韓国を対等に見るようになったと識者は言いますが*3、本当にそうならば格下と見なす相手が日本にはむかうことを悪とする「反日」という言葉を平気で使うことはできないはずです。しかるに、日本人の多くが日帝の朝鮮植民地支配下での人権侵害について日本政府に謝罪と賠償を求める被害者や韓国の市民を「反日だ」と言って眉をひそめたり、K-POPファンまでもが日本軍性奴隷制被害者を支援するブランドアイテム*4を着用するアーティストや光復節*5を祝うアーティストを「反日だ」と言って勝手に幻滅する始末です。

もちろん、「日韓間の草の根交流」の大切さを否定するつもりはありません。しかし、先にも述べたように、日本が歴史問題について真摯に反省しないという現状を日本人の多くが正しく認識していないことが日本と韓国の「深い相互理解」を妨げていることを考えれば、日本と韓国の「深い相互理解」にために何よりもまず必要なことは、日本人が日帝の朝鮮植民地支配とその下での人権侵害という自国の「負の歴史」と真摯に向き合い、日帝の朝鮮植民地支配下での人権侵害について政府や被告企業に法的責任を果たさせることです。日本人がそうした努力を怠るのであれば、どんなに「日韓間の草の根交流」を重ねたところで、「両国国民の深い相互理解」に至ることはできないでしょう。それともまさか、日本人は韓国人に対して、日帝の朝鮮植民地支配を正当化し日本軍性奴隷制日帝強制動員といった人権侵害の事実を否定する日本の立場や意見を理解しろ、とでも言うのでしょうか。

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