葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

日本人が歴史と責任を忘れた「日韓関係」に未来はない。

 

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上記リンク先の記事の「朝日新聞デジタルのアンケートに寄せられた声」は、桜井泉記者曰く「交流の大切さを訴えるものがたくさんあ」ることから、これを好意的に受け止める読者は少なくないでしょう。

もちろん、私も「交流の大切さ」を否定するつもりはありません。しかし、はたして当該の「声」は、本当に手放しで賛同できるものでしょうか。以下、いくつかの「声」を抜粋し、これに批判を加えたいと思います。

 “ 韓国のアイドルが好きだからと言って韓国の国自体が好きなわけではない人もいます。政治を文化やエンターテインメントに結びつけないでほしい。(埼玉県・10代女性)”

日韓関係の悪化をめぐって、「政治を文化やエンターテインメントに結びつけないでほしい」と言う日本人が少なくありませんが、彼らは根本的に勘違いしています。日韓関係の悪化の発端である日帝強制動員問題(徴用工問題)や日本軍性奴隷制問題(日本軍「慰安婦」問題)は、日帝強制占領下での人権侵害という人権問題であって、「日韓の政治対立」の問題ではありません。そして、「文化やエンターテインメント」は、日本人が歴史と責任を都合良く忘れるためのものでありません。

“ 好悪の対象が国なのか国民かはっきりさせるべきだ。韓国との関係については、あえて友好関係でなくてもいい。あわてず時間をかけてクールな関係を保てばいい。なんでも友好と言って他国の言いなりになるのはおかしい。時間をかけて平等な関係をつくるべきだ。(静岡県・60代男性)”

日本政府が日帝の植民地支配の不法性を認め、それについての責任を果たすことを「他国の言いなりになる」だなどというのは、なんともひどく歪んだ認識です。「時間をかけて平等な関係をつくるべきだ」というのも、まるで日本が韓国との関係で弱い立場にあるかのような物言いですが、それは「日韓65年体制」という新植民地主義体制を全く理解していない戯言だと言わざるを得ません。

“ いわゆる、KARAや少女時代といった第1次K-POPブームで韓国が好きになり、大学でも韓国語専攻のある大学に進学しました。語学研修や、交換留学で韓国にも行ったことがありますが、これまで日本人だからといって敵対視されることは一度もありませんでした。日本に来てる韓国人留学生とも交流もありますし、日韓の政治対立で一般人にまで悪影響を及ぼすことは良くないと感じています。別に好きなら好きでよいし、嫌いなら放っておいたらよいんじゃないかと思います。(京都府・20代男性)”

日本社会の植民地主義や差別主義は、韓国を好きか嫌いかの問題ではありませんし、「日韓の政治対立」の問題でもありません。それらは、ほかでもなく日本社会の問題であり、日本人が向き合わなければならない問題です。そして、「韓国人留学生との交流」は、日本人がそれらと向き合わないことの“免罪符”には決してなりません。

“ 隣で身近な国なので、仲良く共に発展したい。韓国の政治家は自国の問題を隠すために、日本を責めることをやめ

てほしい。日本人の嫌韓発言も、恥ずかしい限りなのでやめてほしい。(兵庫県・40代女性)”

日帝による植民地支配の責任という「自国(日本)」の問題」を「韓国の政治家による自国の問題の隠蔽」などという問題にすり替えるのは、いい加減やめるべきです。

“ 日本のシンクタンク「言論NPO」の世論調査によると、日韓とも相手国を訪れたことがある人ほど、その国に好印象を持つ割合が高くなっています。最悪と言われる日韓の外交関係ですが、今回のアンケートの回答には交流の大切さを訴えるものがたくさんありました。同感です。(桜井泉)”

最後に、桜井泉記者によるまとめに対して批判を加えますが、もちろん、「草の根交流」は大切です。しかし、くれぐれもそれを日本人が歴史と責任を忘れることの“免罪符”にしないでください。日本人が歴史と責任を忘れた「日韓関係」に未来はありません。