葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

2017-01-01から1年間の記事一覧

日本軍性奴隷問題は、外交問題ではない。

(社説)日韓合意 順守こそ賢明な外交だ:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/DA3S13293399.html 朝日新聞のこの社説は、「ひどい」の一言に尽きます。朝日新聞は、韓国に対してどうしてそのような傲岸不遜な態度をとることができるのでしょう…

「日本スゴイ番組」の“効能”

昨今の日本では、欧米人を日本に招いて(アジア人が招かれることは、皆無といってよい)日本の技術や文化を褒めさせるテレビ番組が、多く見受けられます。いわゆる「日本スゴイ番組」といわれるものです。そのようなテレビ番組の趣旨は、一般的には「日本の…

差別に「寛容」であることは、「寛容の精神」を殺す。

「寛容の精神を貫くのであれば、差別にも寛容であるべきだ」と言う人がいます。もしかすると、「その通りだ」と思う人も少なくないかもしれません。ですが、本当に「寛容の精神を貫くのであれば、差別にも寛容であるべき」なのでしょうか。 たしかに、「差別…

「軍艦島」の片隅に

政府、軍艦島での強制労働なし 徴用工巡り韓国の反発必至共同通信 https://this.kiji.is/311548453396726881 もしかすると、この記事を読んだ多くの日本国民は「元“島民”が『過酷な強制労働の実態はなかった』と証言しているのだから、軍艦島での強制労働は…

私の친구(友)であるピンデトックは、マッコリの最良の친구である。

「韓国の酒」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、おそらくマッコリ(막걸리)だろうと思います。 そして、日本では、マッコリはホルモン(モツ)をつまみながら飲まれることが多いだろうと思います。 事実、マッコリとホルモンは相性抜群です。 しかし、私…

ヘイトスピーチを肯定するための詭弁は、もうやめよう。

「私はヘイトスピーチには反対だ。だが、ヘイトスピーチが許されないとすると、許されないヘイトスピーチを公権力が恣意的に決めることになる。だから、表現の自由を守るためにも、ヘイトスピーチの自由を認めるべきである」と言う人がいます。もしかすると…

「嫌韓」と「反日」という言葉から滲み出る傲慢さ

(記者有論)日本と韓国 「普段着」の関係、伝えたい 桜井泉:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/DA3S13229745.html 朝日新聞の桜井記者が「『普段着』の日韓関係」を伝えたいとお考えになるのは、大変結構なことだと思います。また、「『普段…

旅をしても、「本当の自分」を見つけることはできないかもしれないけれど……

「自分探しの旅」という言葉に対して、「旅をしたところで、『本当の自分』などというものを見つけることなどできはしない。そもそも、どうしてニセモノの自分に『本当の自分』を探すことができようか」というのはよく言われることです。 たしかに、「旅をし…

日本政府による朝鮮学校差別について、私が思うこと。

日本政府による朝鮮学校に対する差別政策を正当化する理由として、いわゆる「“北朝鮮”核問題」ではなく、「“北朝鮮”政府による人権侵害問題」を挙げる「日本国民」がいます。「“北朝鮮”政府による人権侵害問題」も「“北朝鮮”核問題」と同様、それを理由とし…

日本資本による搾取も、外国資本による搾取も、唾棄すべき搾取であることに変わりはない。

近年、韓国や中国といった(日本以外の)アジア諸国の企業が躍進する一方で、日本企業は凋落の一途をたどっています。その結果、これまで「外国人」を「雇う側」であった日本人は、「外国人」に「雇われる側」になりつつあります。私は、そのこと自体を批判…

「表現規制」に関する、よくある誤解について。

右も左も極端な考え方は「表現の自由」を嫌う――前参議院議員、山田太郎さん - エキサイトニュースhttp://www.excite.co.jp/News/smadan/E1507102952423/ 「表現の自由」に関する「有識者」として知られている山田太郎氏ですが、「規制のされ方には二種類あり…

在日コリアンや在日台湾人の参政権を認めることは「外国人参政権の実現」ではない。「完全な民主主義の実現」である。

「民主主義」は、「治者と被治者の自同性(治める者と治められる者が同一である)」をその本質とします(よく言われる「民主主義の本質は多数決である」というのは誤解です。)。そうだとすると、「日本」という国は、はたして「完全な民主主義国家」である…

再び言おう、「平和の少女像排除問題」は「表現の自由」の問題である。

以前のエントリ*1で、私は「『日本政府による平和の少女像撤去要求問題』は、『表現規制問題』である」旨のことを書きました。その後、現在までの日本政府の「平和の少女像」に関する態度を見るに、やはり「日本政府による平和の少女像撤去要求問題」は、い…

私が「日本国民」に問いたいこと

「日本」という「国」で生まれ、「日本」という「国」で生きてきた一人の人間として、私は「日本国民」に問いたいことがあります。それは、「日本」という「国」を、「日本人」だけではなく、全ての人が一人の尊厳ある人間として生きることのできる場所にし…

釜山の「平和の少女」は、静かに、だが力強く佇む。

先般、韓国の釜山を旅した私は、日本では「従軍慰安婦像」と呼称される、「平和の少女」を訪ねました。 日本では、釜山の「平和の少女」は、 在釜山日本国総領事館「前」に設置されていると、マスメディアで報じられています。 ですので、まず私は、在釜山日…

「昔と比べて、日本社会における民族差別はずいぶん緩和された」という言い訳

就職差別の緩和や地方公務員採用の国籍条項撤廃などをを例に挙げて、「昔と比べて、日本社会における在日コリアン差別はずいぶん緩和された」と言う人がしばしば見受けられます。 たしかに、「昔と比べて」日本社会における在日コリアン差別はずいぶん緩和さ…

「どんな言動がヘイトスピーチなのか分からない」という前に

「どんな言動がヘイトスピーチに該当するかなど分からない。いったい誰が、どんな言動をヘイトスピーチだと決めるのか」と言う人がいます。たしかに、ヘイトスピーチを規制する法令における「ヘイトスピーチ」の定義が明確性を欠くものであれば、「萎縮効果…

「多様性の尊重」は、「個人の尊厳の否定」を肯定しない。

昨今、「多様性の尊重」ということがしきりに言われています。もちろん、私も「多様性の尊重」に異論はありません。しかし、「多様性の尊重」ゆえに、いかなる主義主張であっても許容すべきだという考えには、私は賛同できません。 思うに、「多様性の尊重」…

「日本人なのに殺された」という言葉の違和感

関東大震災直後の朝鮮人虐殺に関して、しばしば方言話者等が朝鮮人と間違われて殺された話が語られます。もちろん、そのような話の趣旨が「ジェノサイドにおいては民族を問わず殺される」というものであることに、私も異論はありません。しかし、日本国民が…

「平和の少女像」が日本国民に問うていること

日本では「慰安婦像」などという名前で呼ばれる「平和の少女像」について、これを「反日の象徴」だなどと忌み嫌う日本国民は少なくないのではないかと思います。 おそらく、日本国民は日本軍による戦時性暴力に関して自分が責められていると感じるゆえに、「…

「広島原爆の日」に考えたこと

広島原爆の日:首相「核ない世界と恒久平和に力尽くす」 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20170806/k00/00m/040/143000c 平和祈念式典のあいさつで安倍首相が述べた「このような惨禍が二度と繰り返されてはならない」という言葉に、私はどこか違和感…

「オタク」だからこそ、コンテンツの「危うさ」としっかり向き合う。

私は「反戦思想」の持ち主ですが、しかし同時に「オタク趣味者」ですから、いわゆる「ミリタリーもの」を頭から否定するようなことはしたくありません。ですが、日本軍を題材とした「ミリタリーもの」が「危うさ」を内包していることは、やはり否定できない…

戦争の惨禍を繰り返さないために語り継ぐべき「記憶」

「戦争の惨禍が再び繰り返されないようにするためにも、『戦争の記憶』を語り継がなければならない」ということがしばしば言われます。 「『戦争の記憶』を語り継がなければならない」ことには、私も異論はありません。しかしながら、そこで語られる「戦争の…

はたして「日本人」は「日韓関係」を客観的に見ることができるだろうか

「私は客観的に物事を見ることができる」と言う人がいるとします。 そうだとして、彼が「他者」との関係で物事を見る場合に、はたして彼は客観的に物事を見ることができるでしょうか。 思うに、その場合において、彼が「自己」を<主>・「他者」を<客>として…

はたして本当に「『慰安婦』問題『日韓』合意」は守るに値するものだろうか

「『慰安婦』問題『日韓』合意」について、日本政府やマスメディア、「『日韓』合意」支持者は、しばしば「国家間の合意だから守られなければならない」ということを強調します。「合意は守られなければならない」というのが原則であるのは、確かにその通り…

「戦後平和主義」の彼方へ

いわゆる「護憲派」の中にも、「日本は平和主義国家である」と信じて疑わない人は少なくないだろうと思います。たしかに、日本国憲法は前文および9条に「平和主義」を規定しています。しかしながら、実態としての日本国は、敗戦後から現在に至るまで本当に…

乙支유람

韓国の首都・ソウルは、香港、シンガポール、バンコク、上海、東京などと同様、アジアを代表する世界都市です。そのソウルの中心部にある街・乙支路に、「かつてのソウル」の姿をとどめたコルモク(路地)があります。高層ビルが立ち並ぶ「現在のソウル」に…

5.18民主化運動の現場である、光州を旅しました。

過日、私は韓国の民主化にとって重要な意味を持つ「5.18民主化運動」の現場である、光州を旅しました。 私はこの旅を、光州駅前広場から始めました。1980年5月18日朝、全南大学の校門前で軍空挺部隊に蹴散らされた学生たちは、ここ光州駅前広場で隊列を整え…

憲法を護るための、改憲をしよう。

はじめにお断りしておきますが、私は政府・自民党が進めようとしている改憲には断固反対の立場です。そんな私が「改憲をしよう」などと言うのは、「矛盾」だと感じる方も少なくないでしょう。ですが、思うに「憲法を護ること=護憲」を「改憲を一切許さない…

果たして、私たちは「北朝鮮」の体制に対する適格な批判者たりうるか。

前エントリに関して、私が「朝鮮民主主義人民共和国(以下、DPRKと表記)の体制を絶対批判してはならない」と主張していると思われた方も、 少なからずいらっしゃるかもしれません。 私は、決して「DPRKの体制を絶対批判してはならない」などと主張するつも…