葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

「このまま放置することはできない」のは平和の少女像ではなく、日本軍性奴隷制による人権侵害である。

慰安婦象徴の少女像が設置10年…官房長官「このまま放置できない」 : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン

 

戦時性暴力を記憶するためのモニュメントである平和の少女像について「このまま放置することはできない」という内閣官房長官の発言は、日本軍性奴隷制による人権侵害について責任を負う日本政府が、責任の所在をすり替え、平和の少女像と韓国に対する国民の憎悪を煽るものであり、「盗人猛々しい」と言わざるを得ません。

もし平和の少女像が設置される以前に、日本政府が日本軍性奴隷制による人権侵害について法的責任を認め、日本軍性奴隷制被害者に対して真摯に謝罪し賠償していれば、平和の少女像が設置されることはなかったかもしれません。そして、平和の少女像がいつまでも座り続けなければならないのは、日本政府がいつまでも日本軍性奴隷制による人権侵害について法的責任を認めず、そのうえ日本軍性奴隷制による人権侵害という「負の歴史」が忘却されることを目論んでいるからです。日本政府が日本軍性奴隷制による人権侵害について法的責任を認め、被害者に対して真摯に謝罪し賠償しない限り、被害者の名誉と尊厳が回復されることはなく、被害者の人権はいつまでも侵害されたままです。つまり、「このまま放置することはできない」のは平和の少女像ではなく、日本軍性奴隷制による人権侵害なのです。もっとも、平和の少女像がこのまま座り続けたとしても、日本が日本軍性奴隷制による人権侵害について真摯に反省し、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を本当に持っているのならば、日本の政府や国民が平和の少女像に対して敵意や憎悪をたぎらせることはないはずですが……。

内閣官房長官は大きな勘違いをしていますが、日帝による人権侵害である日本軍性奴隷制の問題は他ならぬ日本の問題ですから、誰よりもまず先に日本軍性奴隷制問題の解決に向けて努力しなければならないのは日本政府です。そして、いわゆる「慰安婦問題日韓合意」は、決して日本軍性奴隷制問題の真の解決にはなりません。なぜなら、「慰安婦問題日韓合意」は、「これ以上騒ぐな」と日本の国家責任を棚上げにした「見舞金」で被害者の口を封じることで、日本の国家責任が忘却されることを目論むものだからです。また、それは被害者を支援するどころか、むしろ被害者を分断するものです。日本政府や「慰安婦問題日韓合意」を肯定的に評価する人たちは、きっと日本軍性奴隷制問題を「カネで解決できる問題」だと考えているのでしょう。しかし、「日本とたたかっているのは、お金が欲しくてたたかっているのではない」という被害者の声*1に鑑みると、日本軍性奴隷制問題は決して「カネで解決できる問題」ではありません。日本軍性奴隷制問題の真の解決をの実現するために日本政府がするべきことは、韓国政府に少女像の撤去を求めることでもなければ韓国政府に問題解決の責任をなすりつけることでもなく、日本軍性奴隷制による人権侵害について法的責任を認め、日本軍性奴隷制被害者に対して真摯に謝罪し賠償することです。そして、それこそが日本軍性奴隷制問題の真の解決を実現するための最善かつ唯一の方法です。

 

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