葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

米軍と日本軍「自衛隊」の連携強化の本当の問題点は何か

岸田首相「自衛隊は米軍下に置かれない」 日米指揮統制の連携強化で:朝日新聞デジタル

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岸田文雄首相は18日の衆院本会議で、日米首脳会談で確認した両国の部隊運用に関わる「指揮統制」の連携強化をめぐり、「米軍の事実上の指揮統制の下に自衛隊が置かれることはない」と述べた。米国が圧倒的な装備や情報力を持つ中、日本の指揮権の独立性を担保できるかを野党側がただしたのに対し、答えた。

 

岸田首相「自衛隊は米軍下に置かれない」 日米指揮統制の連携強化で:朝日新聞デジタル

岸田首相がバイデン米大統領と合意した米軍と日本軍「自衛隊」の連携強化については、自衛隊と米軍の指揮統制の連携強化で日本軍「自衛隊」が米軍指揮下に入ることを懸念する声が多く聞かれます。そういった懸念の声に対して、岸田氏は「米軍の事実上の指揮統制の下に自衛隊が置かれることはない」と述べていますが、しかし、米軍と日本軍「自衛隊」の連携強化の問題は、日本軍「自衛隊」が米軍指揮下に入ることがなければそれで良いという話では決してありません。

仮に「米軍の事実上の指揮統制の下に自衛隊が置かれることはない」というのが本当だとしても、日本軍「自衛隊」が米軍とともに「集団的自衛権」の名の下に米国のアジア・太平洋における覇権を守るための侵略戦争に参加することは、憲法9条に違反し決して許されるものではありません。多くの左派やリベラル派が、加速する米軍と日本軍「自衛隊」の一体化で日本が米国の軍事行動に巻き込まれることを懸念しますが*1、日本は決して米国の軍事行動に「巻き込まれる」のではありません。戦後の日本は、米国主導の東アジア国際秩序に組み込まれることを通じて「国体」を護持する(天皇制国家体制を維持する)道を選び*2、日本が犯した侵略戦争への深い反省に基づく「平和憲法」があるにもかかわらず「安全保障」に名を借りた軍事同盟を結んで米国主導の東アジア国際秩序を守るための米国の侵略戦争に加担して暴利をむさぼってきました。そしていまや世界有数の軍事大国となった*3日本は、米国主導の東アジア国際秩序の維持・発展へのさらなる貢献を果たすべく、「平和憲法」があるにもかかわらず戦争法を強行制定して*4集団的自衛権」に名の下に世界最強の軍事力を誇る唯一の軍事超大国である米国の侵略戦争に同盟国として参加できるようにしました*5。岸田政権が固執する敵基地攻撃能力の保有*6も、日本が「集団的自衛権」の名の下に米国主導の世界経済体制を守ることを目的とする米国の侵略戦争に参加する上で必要となるものです。つまり、日本は米国の軍事行動に「巻き込まれる」のではなく、米国の同盟国として米国主導の東アジア国際秩序すなわちアジアにおける米国の覇権を守るための米国の軍事行動に主体的かつ積極的に参加するのです。

こうしたことからわかるように、米軍と日本軍「自衛隊」の連携強化の本当の問題点は、「安全保障政策上の主体的な判断の余地が全くなくなる可能性さえ予期される」*7ことではなく、日本が米国の同盟国として憲法9条があるにもかかわらず「集団的自衛権」の名の下に米国のアジアにおける覇権を守るための侵略戦争に主体的かつ積極的に参加することなのです。それゆえ、もはや「いつでも戦争ができる国」となった日本を米国の侵略戦争に参加させないためには、何よりもまず日本軍「自衛隊」が米軍とともに「集団的自衛権」の名の下に米国のアジア・太平洋における覇権を守るための侵略戦争に参加することを可能ならしめた戦争法を廃止し、究極的には「安全保障」に名を借りた日米軍事同盟を解消しなければなりません。

*1:加速する米軍と自衛隊の一体化 アメリカの戦争に引き込まれる恐れは 安全保障関連法施行8年:東京新聞 TOKYO Web

*2:敗戦後、「国体護持」(=天皇制国家体制の維持)に腐心する昭和天皇ヒロヒトは、米国を主体とするGHQ連合国軍総司令部)による対日占領政策の実現に積極的に協力し、戦後日本が米国主導の東アジア国際秩序に組み込まれることによって「国体護持」という悲願を達成しました。「安全保障」に名を借りた日米軍事同盟も、昭和天皇ヒロヒトが己の保身のために天皇制国家体制を米軍に守ってもらうことを望んだ結果の産物なのです。

*3:2024 Japan Military Strength

*4:戦争法案 強行採決

*5:安保法:29日施行 集団的自衛権行使が可能に | 毎日新聞

*6:敵基地攻撃能力を明記、安保3文書を閣議決定 戦後防衛政策の大転換:朝日新聞デジタル

*7:「主体的判断、余地なくなる」 自衛隊と米軍の連携強化、学者が批判:朝日新聞デジタル