葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

有権者の6割超が賛成する「防衛力強化」とは何か。

(朝日・東大谷口研究室共同調査)防衛力強化「賛成」6割 侵攻長期化、高止まり 有権者調査:朝日新聞デジタル

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朝日新聞社東京大学谷口将紀研究室が実施した共同調査によれば、「日本の防衛力はもっと強化すべきだ」と考えている有権者が6割超だったそうです。

防衛

外国による攻撃に対して国の安全を保持する作用。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

「日本の防衛力はもっと強化すべきだ」と考えている有権者は、おそらく「防衛力強化」を、額面通りに受け取り「外国による攻撃に対して国の安全を保持する作用」の強化だと考えているのでしょう。しかし、はたして岸田政権の進める「防衛力強化」とは本当に「外国による攻撃に対して国の安全を保持する作用」の強化なのでしょうか。

「防衛力の強化」に賛成する6割超の有権者も、おそらくそのほとんどが「戦後」の日本を「戦争をしない国」だと信じて疑わないでしょう。しかし、「戦後」の日本は、日本が犯した侵略戦争への深い反省に基づく憲法9条があるにもかかわらず、1950年に再軍備の第一歩を踏み出し*1憲法9条のおかげで自らの手を血で汚すことなく朝鮮戦争(1950年~)やベトナム戦争(1960~75年)、イラク戦争(2003~11年)といった「米国の戦争」に加担して暴利をむさぼってきました。そして、いまや世界有数の軍事大国となった*2日本は、戦争法*3が制定されたことによって、憲法9条があるにもかかわらず「集団的自衛権」に名の下に世界最強の軍事力を誇る唯一の軍事超大国である米国の侵略戦争に同盟国として参加できるようになり*4、米国主導の世界経済体制を守るための対中国戦争に向けた準備を盟主である米国と共に着々と進めています*5岸田政権の進める「防衛力強化」は、まさにかかる米国主導の世界経済体制を守ることを目的とする米国の侵略戦争に参加するためのものです。そして、岸田政権が固執する敵基地攻撃能力の保有も、日本が「集団的自衛権」の名の下に米国主導の世界経済体制を守ることを目的とする米国の侵略戦争に参加する上で必要となるものです*6。つまり、「有権者」6割超が賛成する「防衛力強化」とは、「外国による攻撃に対して国の安全を保持する作用」の強化ではなく、米国主導の世界経済体制を守ることを目的とする米国の侵略戦争に同盟国として参加するための憲法9条に違反する軍事力のさらなる強化なのです。もし日本が米国主導の世界経済体制を守ることを目的とする米国の侵略戦争に同盟国として参加することを通じて守られるものがあるとしても、それは「防衛力強化」に賛成する6割超の有権者が考えるような「『国民』の生命・財産」ではなく、「国体」(=天皇制国家であること)と権力層や経済的支配層の利益です。

このように、岸田政権の進める「防衛力強化」とは、米国主導の世界経済体制を守ることを目的とする米国の侵略戦争に同盟国として参加するための憲法9条に違反する軍事力のさらなる強化なのですが、それでも6割超の有権者は岸田政権の進める「防衛力強化」に賛成するのでしょうか。たとえ有権者の6割超が岸田政権の進める「防衛力強化」に名を借りた憲法9条に違反する軍事力のさらなる強化に賛成したとしても、私は岸田政権の進める「防衛力強化」に名を借りた憲法9条に違反する軍事力のさらなる強化に断固として反対します。