葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

政府とマスメディアは「『防衛力』の抜本的強化」問題の論点をはぐらかすな。

岸田政権がめざす「『防衛力』の抜本的強化」について、「防衛力の抜本的強化には賛成だが、そのための増税には反対である」という論調が主流を占めています。しかし、かかる論調は、岸田政権がめざす「『防衛力』の抜本的強化」問題の本質を履き違えたものです。

戦後の日本は、戦争の放棄と戦力の不保持をうたう憲法9条があるにもかかわらず、ベトナム戦争(1960~75年)やイラク戦争(2003~11年)といったアメリカの侵略戦争に加担してきました。そして、いまや世界第5位(2022年現在)の強大な軍事力を持つ*1軍事大国となった日本は、2015年に戦争法*2が制定されたことによって、「集団的自衛権」の名の下に*3世界最強の軍事力を誇る唯一の軍事超大国であるアメリカの侵略戦争に参加できるようになりました。こうして、「集団的自衛権」の名の下にアメリカの侵略戦争に参加できるようになった日本は、アメリカとともに対中国戦争*4、あるいは対朝鮮民主主義人民共和国DPRK)戦争*5に向けた準備を着々と進めています。これは、つまるところ米国主導の東アジア国際秩序、ひいては米国主導の世界経済体制を守るための戦争の準備です。

岸田政権がめざす「『防衛力』の抜本的強化」とは、まさにかかる米国主導の東アジア国際秩序を守るための対中国・対DPRK戦争に向けたものです。日本が「集団的自衛権」の名の下に米国主導の東アジア国際秩序を守るための対中国・対DPRK戦争に参加することは、憲法9条の下において許容されている自衛権の範囲を超えるものであって、戦争の放棄をうたう憲法9条に違反し、到底許されるものではありません。つまり、岸田政権がめざす「『防衛力』の抜本的強化」とは、実のところ憲法9条に違反するアメリカの侵略戦争に参加するための軍事力のさらなる強化であって、それは、政府や与党が国会などの場で丁寧に説明して国民の理解を得ることができれば許される*6というものでは決してないのです。

このように、岸田政権がめざす「『防衛力』の抜本的強化」に名を借りた軍事力のさらなる強化が憲法に違反し到底許されないものであるにもかかわらず、「防衛力の抜本的強化には賛成だが、そのための増税には賛成である」という論調が主流であるのは、政府と、そのプロパガンダ機関に堕したマスメディアが、「『防衛力』の抜本的強化」問題の論点をはぐらかすからでしょう。「『防衛力』の抜本的強化」問題について真に問うべきは、財源をどうするかではなく、アメリカの侵略戦争に参加するための軍事力のさらなる強化が憲法上許されるかどうか(先に述べたように、それは到底許されるものではありません。)です。「防衛力の抜本的強化には賛成だが、そのための増税には反対である」と言う国民は、「『防衛力』の抜本的強化」がアメリカの侵略戦争に参加するための軍事力のさらなる強化であっても、それでも「賛成だ」と言うのでしょうか。日本が、本当に平和憲法を持つ立憲民主主義の国であるならば、政府とマスメディアは「『防衛力』の抜本的強化」問題の論点をはぐらかすのをやめるべきです。