葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

「日韓右派共闘」の目的はどこにあるか。

韓国情報機関と日本の極右団体が「不当取引」 韓国テレビ局があす報道へ | 聯合ニュース

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韓国の情報機関と日本の極右団体の「不当取引」の真相はさておき、このような日韓右派の共闘は以前から知られていることです*1。また、かつての日本の自民党政権と韓国の軍事政権の蜜月関係は、日韓現代史に関心がある人にはよく知られた話でしょう。それゆえ、韓国の情報機関と日本の極右団体の「不当取引」が事実だとしても、私はさほど驚きません。

そうはいっても、反韓を煽っている日本の極右団体が自身にとって敵であるはずの韓国の情報機関と癒着していたというのは、たしかにセンセーショナルな話題でしょう。しかし、韓国の情報機関と日本の極右団体の癒着関係というのは、あくまでも問題の一面にすぎません。しかるに、韓国の情報機関と日本の極右団体の癒着関係しか見ないのは「木を見て森を見ず」です。

「日韓右派共闘」の本当の問題は、「日韓右派共闘」の目的がどこにあるかということです。思うに、「日韓右派共闘」の目的は、つまるところ韓国の民主化によって生じた新植民地主義的な「日韓65年体制」*2の綻びを修復することです。かつての日本の自民党政権と韓国の軍事政権の蜜月関係を知る人の中には、「日韓右派共闘」を時代錯誤と感じる人もいることでしょう。たしかに、韓国の民主化によって「日韓の蜜月時代」は終わりを告げました。しかし、韓国の民主化によって新植民地主義的な「日韓65年体制」に綻びが生じたことで、それまで「日韓65年体制」が封じていた日本軍性奴隷制問題(日本軍「慰安婦」問題)や日帝強制動員問題(徴用工問題)が噴出しました。また、韓国の民主主義は李明博政権―朴槿恵政権という揺り戻しを経験したものの、それを乗り越えて成熟を深め、新植民地主義的な「日韓65年体制」の克服を志向する文在寅政権を生み出しました。それゆえ、新植民地主義的な「日韓65年体制」を守りたい日韓の右派は、共闘の必要に駆られるのです。

もっとも、新植民地主義的な「日韓65年体制」を守りたいのは、日韓の右派だけではありません。日本のリベラル派も、右派とは別の方向から「日韓65年体制」の綻びを修復しようとしています。日本のリベラル派知識人が、日本軍性奴隷制被害者に対して日本政府が負う責任を「道義的責任」にとどめるための「おためごかし」である「アジア女性基金」の中心メンバーとして活動したり*3、日本を代表する「リベラル紙」である朝日新聞が、「アジア女性基金」と同じく日本政府の責任を「道義的責任」にとどめるための「おためごかし」である「日韓『慰安婦合意』」の順守を訴えたり*4するのは、まさに日本のリベラル派が、日帝植民地支配下の人権侵害に関する日本政府の法的責任と日帝植民地支配の不法性をうやむやにする「日韓65年体制」を守らんとするものです。リベラル派の中には、「リベラル紙」である朝日新聞が韓国のリベラル政権である文在寅政権を目の敵にする*5ことを不思議に思う人もいるかもしれません。しかし、文在寅政権が、朝日新聞が守らんとする新植民地主義的な「日韓65年体制」*6の克服を志向する政権であることを考えると、何ら不思議なことではありません。

このように、日本の右派とリベラル派は、新植民地主義的な「日韓65年体制」の綻びを修復しようとすることに関して、ある種の「共犯関係」にあるといえます。すなわち、日本の右派は、歴史修正主義という名の暴力を用いて「日韓65年体制」の綻びを修復しようとし、一方、日本のリベラル派は、和解という名の暴力*7を用いて「日韓65年体制」の綻びを修復しようとするのです。

さて、韓国の情報機関と日本の極右団体の癒着問題というのは、本来は日本のリベラル派にとって「継続する植民地主義の克服」という、他ならぬ日本のリベラル派自身の問題です。しかし、韓国だけの問題、あるいは「ネトウヨ」だけの問題と勘違いし、「日本のネトウヨ起源は韓国」や「ネトウヨは韓国に操られている」といった戯言をぬかすリベラル派気取りの輩も見受けられます。前述したように、韓国の情報機関と日本の極右団体の癒着問題というのは「継続する植民地主義の克服」という日本のリベラル派自身の問題ですし、それに、そもそも「ネトウヨ」は日本社会の民族差別や排外主義が生み出したものです。しかるに、「日本のネトウヨ起源は韓国」や「ネトウヨは韓国に操られている」といった戯言をぬかして韓国に問題を転嫁するリベラル派気取りの輩は、彼らがあげつらう「ネトウヨ」と所詮「同じ穴の貉」です。

 


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