葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

人権は普遍的な権利なのだから、生存権に「国籍」など関係ない。

与党 所得減少者への現金給付など提言 新型コロナ経済対策 | NHKニュース

 

現金給付に関して、与党の中には「日本国籍を持つ成人であることを唯一絶対の受給条件とすべきだ」というようなことを言う議員がいます。その議員が自論の論拠として挙げる「生存権の保障は当該外国人が本来所属する国の責任である」というのは、たしかに在留外国人に対する生存権の保障を否定する学説の理由として挙げられるものです。在留外国人に対する生存権の保障を否定する学説や判例(堀木訴訟*1)は、「国の財政事情」といったことも理由として挙げます。しかし、日本国籍を有しない定・永住者にも税金を負担させておきながら、生存権の保障については「国の財政事情」云々を持ち出してこれを否定するというのは、なんとも虫のいい話です。

そもそも、生存権は人権であり、人権は「人種、性、身分、国籍などの区別に関係なく、人間であることに基づいて当然に享有できる権利」です。つまり、人権は普遍的な権利なのですから、生存権に「国籍」など関係ないということです。しかるに、「国籍」を理由に生存権の保障を否定することは、背理であると言わざるをえないでしょう。人権が「国民の権利」ではなく「人間の権利」である以上、日本国は人権を守る責任を「国民」に対してではなく、「人間」に対して負っているのです。また、生活保障は文字通り「生活」の保障なのですから、現時点における生活の本拠こそが重要であって、「国籍」などまったくもって重要ではありません。それにもかかわらず、「国籍」を持ち出して日本国籍を有しない定・永住者を給付の対象者から排除しようとするのは、差別以外のなにものでもありません。

先にも述べたとおり、人権である生存権は普遍的な権利であることに鑑みれば、日本国籍を有しない定・永住者に対する生存権の保障を肯定すべきです。また、そう考えることは、日本も批准している*2経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)*39条(この規約の締約国は、社会保険その他の社会保障についてのすべての者の権利を認める。)の趣旨に鑑みても妥当です。

以上より、私は、現金給付の対象者から日本国籍を有しない定・永住者を排除することに、断固として反対します。また、「日本国籍を持つ成人であることを唯一絶対の受給条件とすべきだ」という与党議員は発言は、それ自体が民族差別や排外主義を煽る不当なものです。したがって、私は、当該発言*4をした自民党小野田紀美氏に対し、国会議員としてしかるべき責任をとることを求めます。