葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

人権は「国民の権利」ではなく「人間の権利」である。

世界人権宣言(仮訳文)


第一条
 すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。

第二条
1 すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。

2 さらに、個人の属する国又は地域が独立国であると、信託統治地域であると、非自治地域であると、又は他のなんらかの主権制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない。

日本国民の中には、「この憲法が国民に保障する基本的人権」(憲法11条*1)と日本国憲法に書かれていることから、人権を「国民の権利」だと思っている人も少なからずいるでしょう。しかし、人権の性質に鑑みれば、人権が「国民の権利」だというのは誤解です。

人権とは、「人間であることにより当然に有するとされる権利」であり(人権の固有性)、そして「人種、性、身分、国籍などの区別に関係なく、人間であることに基づいて当然に享有できる権利」です(人権の普遍性)。つまり、人権は「国民の特別な権利」ではなく、「人間固有の普遍的な権利」なのです。

人権は「人間であることにより当然に有するとされる権利」ですから、それは憲法や国家から恩恵として与えられるものではありません。また、誤解している人がしばしば見受けられますが、人権を保障しているのは憲法であって、国家ではありません。つまり、「国家がなければ人権もない」というのは大きな誤解です。国家権力は、人権にとっての最大の脅威であり、すべての人が生まれながらにして持っている人権を国家権力から守るために憲法があるのです。そして、人権は「人種[……]国籍などの区別に関係なく、人間であることに基づいて当然に享有できる権利」ですから、日本国籍でない人の人権も日本国憲法によって守られていることは言うまでもありません。しかるに、日本では、生存権の保障*2や教育を受ける権利の保障*3などについて、国籍による差別があります。これは、人権の本質に鑑みれば、決して許されないことです。日本の政府と国民は、人権の本質を正しく理解し、「人権は国民の権利である」という間違った認識を改めなければなりません。

yukito-ashibe.hatenablog.com

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