葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

日本の政府やマスメディアが「揺らぎ」を懸念する「日米韓の連携」は平和ではなく戦争のためのものである。

「戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり」

 

ジョージ・オーウェル1984年』

 

日韓連携の揺らぎ懸念 政府、意思疎通図る―韓国政局:時事ドットコム

www.jiji.com

政府は、韓国の尹錫悦大統領が現職で初めて捜査当局に拘束されたことを受け、尹政権下で進めてきた日韓、日米韓連携が揺らぐ事態を懸念している。

 

日韓連携の揺らぎ懸念 政府、意思疎通図る―韓国政局:時事ドットコム

社説:尹・韓国大統領を逮捕 混乱の収拾につなげねば | 毎日新聞

mainichi.jp

東アジアの平和と安定を維持するには日米韓の連携が不可欠だ。自国第一を掲げる米国のトランプ新政権発足を控え、韓国の政治混乱が長引けば日本にも影響が及びかねない。

 

社説:尹・韓国大統領を逮捕 混乱の収拾につなげねば | 毎日新聞

政府やマスメディアが言うように「日米韓の連携」は「東アジアの平和と安定を維持する」ためのものである、おそらく日本人の多くがそう信じて疑わないでしょう。しかし、政府やマスメディアがその重要性を声高に叫ぶ「日米韓の連携」は、「東アジアの平和と安定を維持する」ためのものでは決してありません。

憲法の「平和主義」は冷戦体制下での米国の対アジア戦略の産物でもある。米国は、日本とアジアを米国を頂点とする分業関係のネットワークのもとに位置づけた。韓国には戦闘基地の役割が、日本には兵站基地の役割が与えられた。日本が「平和」を維持できたのは、在日米軍の七〇%以上を沖縄に駐屯させ、韓国が戦闘基地、すなわち軍事的バンパーとしての役割を担い、周辺地域が軍事的リスクを負担したからだ。そして、この地域では、米国に与えられた役割に適合的な政治体制が必要であった。それが日本の自民党長期政権であり、韓国の反共軍事独裁政権であった。

 

(権赫泰『平和なき「平和主義」』法政大学出版局 はしがき x頁)

米国主導の戦後アジア国際秩序に組み込まれた日本と韓国は、朝鮮戦争ベトナム戦争といった米国主導の戦後アジア国際秩序すなわちアジアにおける米国の覇権を守るための戦争で、日本と韓国は「兵站基地」(日本)「戦闘基地」(韓国)という米国に与えらえたそれぞれの役割を忠実に果たしました。そして今も、日本と韓国は、米国に与えられたそれぞれの役割を忠実に果たすべく、盟主米国とともに、アジアにおける米国の覇権を守るための対中国戦争あるいは対DPRK戦争に向けた準備を強化しています*1。さらに日本は、米国の期待に応え「兵站基地」の役割を超えて「戦闘基地」として貢献するべく、「集団的自衛権」の名の下に米国の侵略戦争に同盟国として参加できるようにするための戦争法制を整備し*2、米国の侵略戦争への参加に向けた軍事力のさらなる強化を進めています*3。つまり、日本の政府やマスメディアがその重要性を声高に叫ぶ「日米韓の連携」とは、米国主導の戦後アジア国際秩序すなわちアジアにおける米国の覇権を守ることを目的とする戦争のための「米日韓三角軍事同盟」のことであり、それこそが東アジアの平和にとって最大の脅威にほかならないのです。

日本の政府やマスメディアは「『北朝鮮*4の脅威に対抗するためには日米韓の連携が不可欠だ」と盛んに言い立てますが、「『北朝鮮』の脅威」はまさにアジアにおける米国の覇権を守る「米日韓三角軍事同盟」とそれを支える日韓両国の右翼政権・マスメディアが作り出すものです。つまり、「『北朝鮮』の脅威」があるから「米日韓三角軍事同盟」が不可欠なのではなく、アジアにおける米国の覇権を守ることを目的とする戦争のための「米日韓三角軍事同盟」を維持・強化するために「『北朝鮮』の脅威」が不可欠なのです。それゆえ、米日韓は「『北朝鮮』による軍事的挑発」を口実に朝鮮に対する軍事的挑発を繰り返し*5、政府やマスメディアは「『北朝鮮』の脅威」を声高に叫んで「北朝鮮」敵視を煽るのです。

アジアにおける米国の覇権を守る「米日韓三角軍事同盟」は東アジアの平和にとって脅威であるだけでなく、東アジアの民主主義にとっても大きな脅威です。それは、「米日韓三角軍事同盟」において韓国が米国に与えられた「戦闘基地」という役割に適合的な政治体制である尹錫悦政権のような極右反共政権が韓国の民主主義を危機に陥れたことや、「安全保障」に名を借りた日米軍事同盟による琉球弧の軍事要塞化が人々の民意を無視あるいは抑圧したものであることからもよくわかります。

東アジアの平和構築のために本当に必要なのは、アジアにおける米国の覇権を守ることを目的とした日米韓の軍事的連携ではなく、韓国の文在寅前大統領が取り組んだ朝鮮半島の「南北和平」を実現するとともに、日本が帝国主義を克服して真の民主化を遂げることです。しかし、日韓両国の右翼政権と御用メディアがその妨げとなっています。それゆえ、東アジアの平和構築のために私たち日本の人民は、なによりもまず、御用メディアに煽られて「北朝鮮」や韓国の進歩派を敵視することをやめ、東アジアの平和構築のために必要な朝鮮半島の「南北和平」と日本の真の民主化の妨げとなっている日本の右翼政権(そして、究極的にはその根源にある天皇制)を打倒しなければなりません。