葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

日米韓、「新時代」の先は……米国主導の世界経済体制を守るための戦争である。

(時時刻刻)日米韓、「新時代」の先は 「歴史的」演出、対中抑止に期待感 首脳会談:朝日新聞デジタル

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力の論理が幅を利かせる時代だからこそ、自由や民主主義の価値観を共有する日米韓が結束する意義は大きい。だが覇を争う陣営づくりと化せば、かえって緊張は悪化するだろう。地域の安定に資す連携にするための一層の努力が必要だ。

 

(社説)日米韓の結束 地域安定に資す連携へ:朝日新聞デジタル

「キャンプ・デービッド原則」*1の「地域全体の平和及び安定」という言葉を額面通りに受け取るのはナイーブです。

第二次世界大戦で日本に勝利した米国は、ソ連を盟主とする社会主義陣営に対抗するべく、米国主導の戦後東アジア国際秩序に日本と韓国を組み込み、日本には「兵站」の、韓国には「実戦部隊」の役割を与えました。そして、それにより米国は米国主導の東アジア経済秩序ひいては世界経済体制を維持・発展させ、日本は「平和憲法」があるにもかかわらず米国主導の世界経済体制を守るための戦争に加担して「平和憲法」のおかげで自らの手を血で汚さずに暴利を貪り*2、かつての韓国の軍事独裁政権は米国主導の世界経済体制を守るための戦争に参戦した見返りとして血で汚れた金を米国から受け取りました*3。これがいわゆる「米日韓三角同盟」であり、それは究極的に米国主導の世界経済体制を守るための政治的・軍事的な結びつきです。つまり、「キャンプ・デービッド原則」の「地域全体の平和及び安定」とは、実のところ米国主導の戦後東アジア国際秩序の安定であり、それは究極的に米国主導の世界経済体制すなわち米国とその同盟国の権力層や経済的支配層の利益を守るためのものなのです。ソ連を盟主とする社会主義陣営との冷戦は1989年に終結したものの*4、目覚ましい経済発展を遂げた中国がソ連に代わり米国主導の世界経済体制に対する「挑戦者」として新たに登場しました。そのためソ連を盟主とする社会主義陣営との冷戦が終結した今もなお、米国は日米韓の政治的・軍事的結束が弱まることを決して良しとしないのです*5

朝日新聞の社説は、「自由や民主主義の価値観を共有する日米韓が結束する意義は大きい」と言います。しかし「自由や民主主義の価値観を共有する」といえば聞こえはいいですが、その実はアメリカ帝国主義の共有であり、アメリカ帝国主義を共有する日米韓が結束する意義は、まさしく「挑戦者」から米国主導の世界経済体制を守るためにあるのです。かかる日米韓の政治的・軍事的結束は、つまるところ朝日新聞の社説が憂慮する「覇を争う陣営づくり」にほかならないといえます。

こうして、「自由民主主義」という名のアメリカ帝国主義を共有する日米韓は、米国主導の世界経済体制に挑戦する「権威主義国家」の中国やロシア*6から「普遍的価値やルールに基づく国際秩序」という名の米国主導の世界経済体制を守るべく「米日韓三角同盟」という政治的・軍事的結束を強化し、米国主導の世界経済体制を守るための戦争の準備(2015年に戦争法*7が制定されたことで、日本は今や「実戦部隊」の役割をも担うようになりました。)を着々と進めています*8。つまり、日米韓「新時代」の先は、米国主導の世界経済体制を守るための戦争なのです。その戦争は、先に述べたように米国とその同盟国の権力層や経済的支配層の利益を守るためのものですから、米国とその同盟国の権力層や経済的支配層の利益を守るためならば、東アジアを再び戦場にし、東アジアの人民の命を犠牲することを決して厭わないでしょう。