葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

戦後「平和国家」日本は、殺傷武器の供給という過ちをこれ以上繰り返すな。

現行の三原則が策定された14年以降、日本の武器が事前同意を経て第三国に輸出された例はない。[……]ただ、無原則な第三国輸出を認めれば、日本の戦闘機で海外の市民の命が奪われる結果にもなりかねない。

 

「日本の戦闘機」が市民空爆の可能性? 自民と公明が武器輸出規制の緩和を検討:東京新聞 TOKYO Web

たしかに「現行の三原則が策定された14年以降、日本の武器が事前同意を経て第三国に輸出された例はない」というのは事実です。

しかし、例えば朝鮮戦争(1950年~(1953年に休戦))では、日本が犯した侵略戦争への深い反省に基づく「平和憲法」があるにもかかわらず、日本はナパーム弾を生産し*1、日本が生産したナパーム弾を用いたアメリカ極東空軍による朝鮮民主主義人民共和国(以下、「朝鮮」と略す)の都市や農村への無差別爆撃で、朝鮮の数多くの市民(民間人)の命が奪われました*2。つまり、「武器輸出三原則」を緩和した「防衛装備移転三原則」*3をさらに緩和して無原則な殺傷武器の輸出を認めるとすれば、戦後「平和国家」日本は殺傷武器の供給という過ちを繰り返すことになるのです。

政府は、無原則な殺傷武器の輸出を「日本にとって望ましい安保環境の創出や、国際法違反の侵略などを受けている国への支援のため重要な政策手段だ」と言います*4。しかし、朝鮮人民軍北緯38度線を越えて韓国に侵攻したことをきっかけに始まった朝鮮戦争では、先にも触れたように、国連軍の名の下に参戦したアメリカ軍が朝鮮の都市や農村へ戦時国際法*5に違反する無差別爆撃を行いました。これを考えると、「国際法違反の侵略などを受けている国への支援のため」に輸出された日本の殺傷武器が、日本が支援する国や同盟国が行う戦時国際法に違反する攻撃に使用されることも十分にあり得るのです。そのようなおそれのある殺傷武器の輸出は、たとえ「国際法違反の侵略などを受けている国への支援のため」であっても、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」憲法の平和主義に反するものといわざるを得ません。

日本の殺傷武器で海外の市民の命が奪われるというのは、決して未来の話ではありません。「平和憲法」があるにもかかわらず日本が生産し、供給した殺傷武器は、朝鮮戦争ベトナム戦争ベトナム戦争で使用されたナパーム弾の9割が日本製だと言われています。)といったこれまで日本が加担してきた戦争で、数多くの市民の命を奪ってきました。戦後「平和国家」日本は、殺傷武器の供給という過ちをこれ以上繰り返してはなりません。そして、われわれ日本の人民は、政府が殺傷武器の供給という過ちをこれ以上繰り返すことを決して許してはなりません。

honto.jp

*1:“空軍戦力では、F-80ジェット戦闘機が九州福岡から作戦を展開したが、当時のF-80は滞空時間に制約があったため、急遽燃料タンクを手当てして、不足する滞空時間を補う必要があった。この問題に際して米軍極東空軍は、翼端に装着する265 ガロン用の燃料タンク――この燃料タンクの名称を「ミサワ・タンク」37と呼ばれた――を日本の企業に緊急発注し、多数つくらせた。F-80 やレシプロ戦闘機が対地攻撃の際、ナパーム弾用のタンクも日本の企業に製造させた。”朝鮮戦争と日本 : 日本の役割と日本への影響 - 国立国会図書館デジタルコレクション

*2:高井弘之 : 「朝鮮ミサイル問題」とは「アメリカ問題」である

*3:防衛装備移転三原則とは 安保に寄与なら輸出を容認 - 日本経済新聞

*4:「殺傷能力ある武器輸出を」政府・自民に高まる解禁論 ゆらぐ禁輸三原則 識者「平和国家像の支え失う」:東京新聞 TOKYO Web

*5:陸戦の法規慣例に関する規則(ハーグ陸戦条約)

第25条 防守されていない都市、集落、住宅または建物は、いかなる手段によってもこれを攻撃または砲撃することはできない。

空戦に関する規則案(ハーグ空戦規則案)

第22条 普通人民を威嚇し、軍事的性質を有しない私有財産を破壊もしくは毀損し、または非戦闘員を損傷することを目的とする空中爆撃は禁止する。