葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

閣僚の靖国参拝は「中韓が反発」するから問題なのではない。

木原稔氏らが靖国参拝 現職防衛相の参拝は3例目 中韓が反発 | 毎日新聞

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木原稔防衛相と高市早苗経済安全保障担当相、新藤義孝経済再生担当相は終戦の日の15日午前、東京・九段北の靖国神社を参拝した。2007年に防衛庁防衛省に昇格してから、現職の防衛相の靖国参拝が確認されたのは21年8月13日の岸信夫氏以来で3例目。終戦の日の参拝は初めてとみられる。靖国神社にはA級戦犯が合祀(ごうし)されており、中国、韓国は日本側に抗議するなど反発を強めた。

 

木原稔氏らが靖国参拝 現職防衛相の参拝は3例目 中韓が反発 | 毎日新聞

閣僚の靖国参拝は「中韓が反発」するから問題なのだ、すなわち「中韓が反発」しなければ問題にはならない、そう思っている日本国民も多いことでしょう。しかし、閣僚の靖国参拝は「中韓が反発」しなければ問題にはならない、というのは間違いです。

日本国民の多くは、戦後の「靖国」を「普通の神社」だと思っているのでしょうが、「靖国」は今も決して「普通の神社」ではなく、「天皇の国」のために戦争で殺し殺されることを顕彰する施設です。

戦前、「天皇の国」のために戦争で殺し殺されることを是とし、天皇の名の下で中国や韓国をはじめとするアジア諸国を侵略・植民地支配した日本が、戦後、本当に民主的な平和国家へと生まれ変わったのであれば、日本が「天皇の国」であり続けることは許されないはずですし、「天皇の国」のために殺し殺される軍隊も「天皇の国」のために戦争で殺し殺されることを顕彰する施設も存続していないはずです。しかし、天皇制を日本の間接統治に利用したいGHQ連合国軍総司令部)は、己の保身と「国体護持」(=天皇制国家体制の維持)に腐心する昭和天皇ヒロヒトと取引し、日本が平和憲法と米国主導の東アジア国際秩序を受け入れることを条件に、戦後も日本が「天皇の国」であり続けることを許しました*1。そして、日本に戦力の不保持を定めた平和憲法を受け入れさせたにもかかわらず、冷戦政策上の必要性から日本に再軍備させ*2、それによって「自衛」の名の下に「天皇の国」のために殺し殺される軍隊である日本軍「自衛隊」(創設当初は警察予備隊)が成立しました。つまり、日本は今も戦前と変わらず「天皇の国」のために殺し殺されることを是とする国であり、だからこそ「天皇の国」のために戦争で殺し殺されることを顕彰する施設である「靖国」が解体されずに存続しているのです。

戦後の日本が、本当に天皇の名の下に行われたアジア侵略・植民地支配の反省の上に成り立つ民主的な平和国家であるならば、「天皇の国」のために殺し殺されることを是とするのは許されないはずです。そして、「主権者」である日本国民は、国家が「天皇の国」のために殺し殺されることを是とするのを許してはならないはずです。つまり、閣僚が「天皇の国」のために戦争で殺し殺されることを顕彰する施設である「靖国」を参拝することの是非は、ほかならぬ日本国民自身の問題であって、今の日本が本当に天皇の名の下に行われたアジア侵略・植民地支配の反省の上に成り立つ民主的な平和国家であるならば、「中韓が反発」しようとしまいと、日本国民は閣僚が「天皇の国」のために戦争で殺し殺されることを顕彰する施設である「靖国」を参拝することを許してはならないのです。マスメディアも、「中韓が反発」云々と日本国民の中国と韓国に対する敵意を煽るのではなく、閣僚の靖国参拝問題を日本国民自身の問題としてその是非を問うべきです。

そもそも、先にも述べたように、今の日本が本当に民主的な平和国家であるならば、日本は「天皇の国」であってはならないはずですし、「天皇の国」のために殺し殺される軍隊も「天皇の国」のために戦争で殺し殺されることを顕彰する施設も存続していないはずです。つまり、日本を真の民主的な平和国家にするためには、日本の人民が自らの手で日本軍「自衛隊」と「靖国」を解体し、その根底にある天皇制を廃絶しなければならないのです。