葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

朝鮮戦争は日本人にとって決して「よその国の戦争」ではない。

〈本の紹介〉朝鮮戦争無差別爆撃の出撃基地・日本/林博史 | 朝鮮新報

chosonsinbo.com

朝鮮戦争は日本人にとって決して「よその国の戦争」ではない。そう言うと、日本人の多くは「朝鮮戦争が再び起きれば(なお、朝鮮戦争は休戦中にすぎず現在も終結していません。)日本も戦火に巻き込まれかねないから、すなわち日本人が戦争被害に遭いかねないから、朝鮮戦争は日本人にとって決して『よその国の戦争』ではない」と思うかもしれません。しかし、私が言いたいのはそういうことではありません。

戦後の日本は、日本が犯した侵略戦争への深い反省に基づく「平和憲法」があるにもかかわらず、国連軍の名の下に参戦した米軍に対して出撃基地を提供したりナパーム弾を生産・供給*1したりするなどといった後方支援の形で朝鮮戦争に加担し、日本が提供した基地から出撃した米極東空軍による日本が生産・供給したナパーム弾を使用した朝鮮民主主義人民共和国(以下、「朝鮮」と略す)の都市や農村への戦時国際法*2に違反する無差別爆撃で朝鮮の数多くの市民(民間人)の命が奪われました*3。そして、「朝鮮特需」*4という言葉があることからもわかるように、皮肉な話ですが憲法9条のおかげで自らの手を血で汚すことなく朝鮮戦争で暴利をむさぼって経済復興の基盤を固めた日本は、その後もベトナム戦争(1960~75年)やイラク戦争(2003~11年)といった「米国の侵略戦争」に加担してさらに暴利をむさぼり、戦争の血で汚れたカネで経済力と軍事力の増強を続け、憲法9条があるにもかかわらずいまや「集団的自衛権」に名の下に世界最強の軍事力を誇る唯一の軍事超大国である米国の侵略戦争に米国の同盟国として参加できるようになりました*5

つまり、日本は過去の朝鮮戦争で朝鮮の市民を無差別大量殺戮した米軍を後方支援した間接的な戦争加害者であり、また、もし朝鮮戦争が再開されれば今度は「集団的自衛権」に名の下に日本軍「自衛隊」が米軍とともに朝鮮の市民を無差別大量殺戮して直接的な戦争加害者になりかねないのであって、それゆえに朝鮮戦争は日本人にとって決して「よその国の戦争」ではないのです。もっとも、そもそも今日までの日本の戦争加害の歴史に無頓着な日本人の多くは、朝鮮戦争を「『平和国家』日本が巻き込まれかねない、はた迷惑な『よその国の戦争』」としか思っていないのかもしれませんが……。

*1:“空軍戦力では、F-80ジェット戦闘機が九州福岡から作戦を展開したが、当時のF-80は滞空時間に制約があったため、急遽燃料タンクを手当てして、不足する滞空時間を補う必要があった。この問題に際して米軍極東空軍は、翼端に装着する265 ガロン用の燃料タンク――この燃料タンクの名称を「ミサワ・タンク」37と呼ばれた――を日本の企業に緊急発注し、多数つくらせた。F-80 やレシプロ戦闘機が対地攻撃の際、ナパーム弾用のタンクも日本の企業に製造させた。”朝鮮戦争と日本 : 日本の役割と日本への影響 - 国立国会図書館デジタルコレクション

*2:

陸戦の法規慣例に関する規則(ハーグ陸戦条約)

第25条 防守されていない都市、集落、住宅または建物は、いかなる手段によってもこれを攻撃または砲撃することはできない。

空戦に関する規則案(ハーグ空戦規則案)

第22条 普通人民を威嚇し、軍事的性質を有しない私有財産を破壊もしくは毀損し、または非戦闘員を損傷することを目的とする空中爆撃は禁止する。

*3:高井弘之 : 「朝鮮ミサイル問題」とは「アメリカ問題」である

*4:朝鮮特需

*5:安保法:29日施行 集団的自衛権行使が可能に | 毎日新聞