葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

八代英輝氏による反共デマ問題の本質

田村政策委員長抗議/共産党は暴力と無縁/民放番組の卑劣な反共デマに

www.jcp.or.jp

現在の日本共産党綱領*1や(賛否はさておき)六全協における武装闘争路線の完全な放棄*2に鑑みれば、「共産党はまだ暴力的な革命というものを党の要綱として廃止していない」という八代英輝氏の発言は明らかにデマです。ただ、八代氏はその後の言い訳で「私の認識は閣議決定された政府見解*3に基づいたものだった」と述べていますが*4、たしかに日本共産党破壊活動防止法(以下、「破防法」とします)に基づく調査対象団体であるというのは事実です*5

しかし、そもそも問題視されるべきなのは、日本共産党ではなく、違憲の疑いが濃厚な破防法*6によって日本共産党という公党を監視対象とする公安調査庁と政府です。なぜなら、公安調査庁のような政府の「秘密警察」が公党を監視し「危険な団体」であるとレッテルを貼ることは、思想の自由や結社の自由といった憲法が保障している自由権を侵害し、あるいは民主主義を歪めるものであり、本当に日本が立憲民主主義の国であるならば、それは決して許されるものではないからです。極右主義者たちは「共産党は公安の監視対象だ」と得意げに言っていますが、これはつまるところ日本が本当は立憲民主主義の国ではないと言っているようなものです。

八代英輝氏による反共デマを批判するリベラル派の中には、「公安調査庁共産党ではなく自民党を監視対象にすべきだ」と言う人も少なからず見受けられます。そう言いたくなる気持ちはわからなくもありませんが、しかし、「公安調査庁共産党ではなく自民党を監視対象にすべきだ」と言うリベラル派の人たちは、違憲の疑いが濃厚な破防法公安調査庁のような政府の「秘密警察」の存在意義を認めるという過ちを犯しています。われわれ左派やリベラル派が主張すべきなのは、自民党公安調査庁の監視対象にすることではなく、破防法が思想の自由や結社の自由を侵害し違憲であることと、公安調査庁のような政府の「秘密警察」は解体されるべきであることです。

反共主義」は、決して「自由民主主義」を「共産主義の魔の手」から守るためのものではありません。「反共主義」は、民主主義を守るどころか、むしろ民主主義を歪めてしまいます*7。また、破防法が日本を「反共の砦」とする「逆コース」の流れの中で制定されたことに鑑みると、同法は(右翼団体も監視対象とされているとはいえ)反共主義の色合いが濃いものであるといえるでしょうが、前述したように、この破防法も民主主義を歪めるものです。それゆえ、本当に民主主義を守るためには、今般の八代氏の発言のような悪質な反共デマを決して許してはならないのはもちろん、違憲の疑いが濃厚な破防法公安調査庁のような政府の「秘密警察」の存在も決して許してはなりません。