葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

天皇制廃止の目的は、あくまでも人民の解放である。

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私は天皇制廃止論者です。しかし、天皇制廃止の目的を「天皇や皇族の解放」であるとする論には与しません。

天皇制は、神話という虚構に由来する天皇の権威によって人民を支配するための制度なのですから、それを廃止する目的は、あくまでも天皇制によって抑圧・支配されている人民の解放です。天皇制の廃止によって天皇や皇族が天皇制から“解放”されるとしても、それは人民が解放されることの反射的利益にすぎません。

たしかに、目的が「人民の解放」であろうと、「天皇や皇族の解放」の解放であろうと、結果は同じかもしれません。しかし、だからといって神話という虚構に由来する天皇の権威によって人民を支配するための制度であるという天皇制の本質を看過することは、知的不誠実であると言わざるを得ないでしょうし、知的不誠実であるのみならず、天皇や皇族の“人権”を心配する一方で天皇制によって踏みにじられている人民の人権を軽視ないし無視することは、まさに天皇制の本質的性格である身分差別にほかなりません。つまり、天皇制廃止の目的を「天皇や皇族の解放」であるとする論は、「天皇制の論理」にとらわれた思考の産物だといえます。

そして、人民の解放を目的としない天皇制廃止運動によって天皇制が廃止されたとしても、日本の真の民主化を実現することは決してできないでしょう。天皇や皇族の解放がもたらす“恩恵”として与えられる「民主化」など、アメリカから“恩恵”として与えられる「民主化」と同様、まがいものにすぎません。われわれ日本の人民は、自らの解放を志向してこそ、反民主主義的な支配制度である天皇制による支配からの脱却という、日本の真の民主化を勝ち取ることができるのです。