葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

釜山の『うまいもの』たち

以前にも書きましたが*1、韓国を代表する港町である釜山は、私にとって特別な思い入れのある街です。私は、そんな愛してやまない釜山をこれまで何度も訪れ、そして数多くの釜山の『うまいもの』たちに出逢ってきました。

本稿では、そんな釜山の『うまいもの』たちの中から、代表的な名物料理を3つご紹介します。

 

1.テジクッパ(돼지국밥)

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釜山の名物料理といえば、おそらく真っ先にあげられるのが、このテジクッパ(豚肉のスープご飯)*2でしょう。テジクッパは、釜山旅行では必ず食べたい、まさに釜山グルメの中の釜山グルメであると言っても過言ではありません。もしかすると韓国映画ファンの中には、釜山を訪れたことがなくても、釜山を舞台にした映画『弁護人』を通してテジクッパを知っている人もいるかもしれません。

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日本では「韓国料理=辛い」というイメージが強いですが(もっとも、「韓国料理=辛い」というのは半分正解で、半分間違いなのですが)、コクがありながらもクセがなく(ですので、とんこつラーメンのスープの香りが苦手な人でも大丈夫だと思います。)さっぱり優しい豚骨スープに豚肉がたっぷり入ったテジクッパは、辛いものが苦手な人でも楽しめる韓国料理です。また、テジクッパはいわゆる定食スタイルですので、一人旅でも気軽に楽しめます。私のような酒飲みは、豚骨の旨みがきいた濃厚なスープをすすりながら釜山の地焼酎「大鮮」を飲めば、独り飲みでも至福のひとときを過ごせます。

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西面テジクッパ通り

釜山を代表する名物料理だけあって、テジクッパ店は釜山の至る所にありますが、初めての方には、有名店が集まっている「西面テジクッパ通り」をおすすめします。もちろん、「西面テジクッパ通り」のお店以外にも美味しいお店はたくさんありますので、いろいろなお店の味を食べ比べてみて、ぜひお気に入りのお店を見つけてみてください。

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ジノ テジクッパ

 

2.ミルミョン(밀면)

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釜山の代表的な名物料理としてテジクッパと双璧をなすのが、釜山の冷麺であるこのミルミョン*3です。「ミル(밀)」とは小麦のことで、蕎麦粉と緑豆粉を麺の原料とする平壌冷麺やサツマイモまたはジャガイモのでん粉を麺の原料とする咸興冷麺と異なり、このミルミョンは小麦粉を麺の原料とするのが特徴です。冷麺はもともと平壌や咸興といった朝鮮半島北部の料理でしたが、朝鮮戦争で38度線以北から釜山に避難してきた人たちが、戦時中で冷麺の材料が手に入りづらかったことから米軍の支援物資である小麦粉で麺を打ち始めたのがミルミョンの始まりと言われています。

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小麦の麺だからでしょうか、ミルミョンの麺はもっちりとした程よいコシで喉越しも良く、弾力の強さが特徴の一般的な冷麺の麺とはまた違った美味しさです。また、スープに韓方(漢方)材料を使っているお店もあり、滋養に満ちたスープは夏の暑さや辛い料理で疲れた胃腸を優しく癒してくれます。実際、私はかつて釜山を旅したときに、生の青唐辛子を焼酎のツマミとしてついついかじりすぎてしまい胃腸の調子を少し崩してしまったことがあったのですが、韓方スープのミルミョンを食べたら胃腸の調子がみるみる回復した、なんてことがありました。

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ハルメカヤミルミョン

テジクッパ店と同様に、ミルミョン店も釜山の至る所にありますので、ラーメン店をはしごするようにミルミョン店をはしごしてみるのも楽しいかもしれません。

 

3.テグタン(대구탕)

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港町・釜山といえば、やはり魚料理は外せません。釜山の魚料理で多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、おそらく刺身でしょう。しかし、私が本稿でご紹介したいのは、刺身ではなくテグタン*4

「テグタン」というと、日本では焼肉店でおなじみの辛い牛肉スープを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、韓国の「テグタン(大口湯)」は真鱈の鍋であり、名前は同じですが、日本の焼肉店でおなじみの「テグタン(大邱湯)」*5とは別の料理です。

テグタンはソウルでも食べられますが(ソウルでは三角地のテグタン通りが有名です*6。)、釜山のテグタンは、ソウルのテグタンと違って辛くなく、塩ベースの優しい味付けが特徴です。鱈の出汁がきいた程よい塩加減のスープに身がしっかりした真鱈がたっぷり入ったテグタンは、釜山を訪れたらぜひ食べたい釜山の名物料理です。

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コマテグタン

 

もちろん、釜山の『うまいもの』たちは、このほかにもまだまだあります。終息の兆しがなかなか見えないコロナ禍のせいで旅行もままならない昨今ですが、コロナ禍が終息しまた旅行できる日が来ましたら、本稿をお読みくださったみなさまも、ぜひ釜山を訪れて、釜山の『うまいもの』を堪能してみてください。