集団的自衛権をめぐる議論に関して、素人ながら思うことがあります。それは、例えば「集団的自衛権行使の否定論者は、外敵からの脅威に対して丸腰で臨めと言うのか」などというように、集団的自衛権行使の必要性を説く人は、集団的自衛権と個別的自衛権を混同しているのではないか 、ということです。
そう思うのは、おそらく私だけではないはずです。たしかに、集団的自衛権行使の否定論者のなかには個別的自衛権の行使を否定する人もいるかもしれません。しかし、理屈として、集団的自衛権の行使の否定が個別的自衛権の行使を否定するものでないことは、いまさら私が言うまでもないでしょう。
そもそも、「『集団的自衛権』と『個別的自衛権』の混同」が生じる原因は、「集団的『自衛』権」という名前にあるのかもしれません。
はたして、集団的自衛権の行使によって護ろうとするものは、本当に「国民の生命や安全」なのでしょうか。私には、どうも「集団的自衛権」という名前が偽りの名前に思えてならないのです。
つまり、私が思うに、「集団的自衛権」などと遠回しな言い方をせず、「アメリカ主宰『反共・反反資本主義作戦』参加権」とでも言ったほうがよろしいのではないでしょうか。
結局のところ、世界の対立構造は、朝鮮戦争やヴェトナム戦争の頃からこれといって特に変わっていないのかもしれません。あえて言えば、主である「共産主義勢力」ソビエトから中国に変わり、そして新たな「反資本主義勢力」としてイスラーム(経済)勢力が加えられた、ということでしょうか。
そういった意味で、私たちが学ぶべき近現代史として、今現在の私たちにとって最も有効なのは、ヴェトナム戦争史ではないかと思うのです。
たしかに、日本はヴェトナム戦争に直接参戦はしませんでした。しかし、「後方支援」という形(例えば、米爆撃機の発進拠点という形)で、間接的であるにせよ、アメリカが主宰する「反共作戦」に参加したのは事実です。そしてまた、今現在もアメリカは、ヴェトナム戦争時において日本が果たした役割を、日本に対して求めて続けています。ですが、本当のところアメリカの本音は、「後方支援」以上に、ヴェトナム戦争において韓国が果たした役割を日本に対して求めたい、というものなのかもしれません。
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