葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

フジテレビと法務省入国管理局による悪質な人種・民族差別扇動に断固抗議する

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フジテレビ系で6日夜に放送された「タイキョの瞬間!密着24時」は、国家権力に迎合するマスメディアと国家権力のいわば「共犯関係」による、悪質極まりない人種・民族差別煽動にほかなりません。

案の定フジテレビは、「取材に基づいた事実を放送しており、決して外国人を差別する意図はございません」などという使い古された言い訳で番組を差別煽動を正当化しようとしています。だが、フジテレビの「外国人を差別する意図」の有無が問題なのではありません。排外主義を煽動し、“外国人”差別を助長する効果を生み出すような番組を、そのようなものと知り得ながら(フジテレビは、曲がりなりにも報道機関なのですから)放送することが問題なのです。

フジテレビは「取材に基づいた事実を放送して」いると言いますが、その「事実」というのは、弁護士有志によって指摘されているように「技能実習制度の問題点や、収容施設の医療体制の不十分さ、自殺者が出ていること」といった入管にとって「不都合な事実」を切り捨てた「事実」にすぎません。そうであれば、入管にとって「不都合な事実」の切り捨てという編集を行っている以上、フジテレビに「外国人を差別する意図」があったことは客観的に明白だといえるでしょう。それにもかかわらず「決して外国人を差別する意図はなかった」などと言い逃れようとするフジテレビの態度は、全くもって卑劣であり、非難されてしかるべきです。

この番組に対しては、実際に放送される前から少なからず批判の声がありましたが(ちなみに私も、放送前にフジテレビに対して抗議メッセージを送りました。)、それはこの番組が番組宣伝の時点ですでに悪質な人種・民族差別煽動だったからです。下記のリンク先をご覧になれば分かるように、番組宣伝に含まれるメッセージは、それ自体が人種・民族差別を助長する危険性が極めて高いものであるといえます。

www.fujitv.co.jp

それゆえ、「実際の放送を見てから批判」するのでは遅いのです。フジテレビによって番宣CMや番宣ツイートが流され、それに加えて番組の“主役”である東京入管の公式ツイッターアカウントによって番宣ツイートが流される(それにしても、いくら法務省人権擁護局が「ヘイトスピーチ、許さない」と訴えたところで、同じ法務省の入国管理局がヘイトスピーチを煽るのですから、ヘイトスピーチなどなくなるはずがありません。)時点で、決して看過できない“外国人”に対する差別や偏見が惹き起こされます。それを考えれば、この番組が実際に放送されることでどれほど深刻な差別や偏見が惹き起こされるか、容易に想像できるでしょう(案の定、インターネット上では実際に放送されてしまったこの番組によって惹き起こされたヘイトスピーチが多数観察されます。)。

それでもまだこの番組の危険性が分からない人は、3年前の「7月9日在日強制送還デマ」*1のことはご存じでしょうか。もしご存じであれば、あのデマのことを思い出してください。「7月9日在日強制送還デマ」も、デマを増長させたのは民族差別的な入管行政でした。つまり、今回のフジテレビの番組も、たとえそれが「取材に基づいた事実を放送し」たものであったとしても、相変わらず日本の入管行政が民族差別に満ちたものである以上、「7月9日在日強制送還デマ」のような悪質なデマを再び惹き起こし、ひいては“在日外国人”の平穏な生活や人権の侵害を誘発しかねないものであるということです。いうなれば、この番組は存在そのものが悪質な人種・民族差別煽動なのです。

この番組を許容すべきでないのは、“外国人”に対する差別や偏見を助長するからだけではありません。前述のとおり、この番組は「技能実習制度の問題点や、収容施設の医療体制の不十分さ、自殺者が出ていること」といった入管にとって「不都合な事実」を切り捨てた「事実」を放送したものですが、このような放送は、入管による苛烈な人権侵害を隠蔽し忘却させる効果を発揮し、「入管のおかげでいかに“不良外国人”から日本社会が防衛されているか」を「国民」に“意識”させることで、入管による差別行政と苛烈な人権侵害をさらに増長させるでしょう。その点でこの番組は、まさにフジテレビと入管の「共犯関係」によるプロパガンダ放送であるといえます。

このようなプロパガンダ放送の究極的な狙いは、入管による差別行政と苛烈な人権侵害を批判しない“空気”を醸成し、あるいは入管による差別行政への支持と協力に「国民」を動員することです。そうであれば、すでに番組が放送されてしまった今、まず私たちができることは、このような番組を絶対に許容しない意思表示をすることです。

私は、本稿をもって、フジテレビと法務省入国管理局による悪質な人種・民族差別煽動に断固抗議します。