葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

「不買運動」に対して否定的な人が誤解していること

DHC会長、人種差別的文章を掲載 不買運動広がる 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

 

DHC会長が民族差別を煽動する文章を発表したことを受けて、DHC製品の不買を呼び掛ける声が広がる一方、「悪いのは会長であって従業員に罪はないのだから、従業員の生活に影響を与えかねない不買運動はやめるべきだ」という声も少なくありません。

「悪いのは会長であって従業員に罪はない」というのは、たしかにそうかもしれません。しかし、それを理由に「不買運動はやめるべきだ」と言う人は、問題の本質を誤解しています。

今般の問題の本質は、企業(資本家)が差別煽動で儲けることです。ヘイトスピーチ解消法*1第3条*2に鑑みれば、それはまさにコンプライアンス違反であり、企業活動として到底許されないものです。そして、企業(資本家)が差別煽動で儲けることが、企業活動として到底許されないものであることは、資本主義的搾取関係における被搾取者である従業員が差別煽動に関わっていようといまいと、変わりはありません。なぜなら、従業員の賃金は(たとえそれが「汚れた金」であろうと)労働の対価であって差別煽動による儲けそのものではなく、差別煽動による儲けは資本家のものだからです。つまり、「不買運動」は資本家を差別煽動で儲けさせないことを目的(「不買運動」を通じて差別を許容しない価値観を社会に浸透させることが大きな目的であることはいうまでもありません。)とするものであり、そこでは「従業員に罪がない」ことは問題にならないのです。もしDHC従業員の生活を脅かすものがあるとすれば、それは「不買運動」ではなくDHC会長による差別煽動です。

そもそも、DHCが差別煽動で儲けることを許さなければDHC従業員の生活が守られないというのがおかしな話です。ただ、資本家が労働者の生殺与奪の権を握る資本主義経済システムの下では、それをおかしな話だと思う人は少ないでしょう。この点に鑑みると、企業による差別煽動に関しては、やはり資本主義経済システムそのものを問う必要があると思います。

 

*1:本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律 | e-Gov法令検索

*2:

(基本理念)

第三条 国民は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性に対する理解を深めるとともに、本邦外出身者に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない。