あしべの自由帳

芦部ゆきとが言いたいことを書き綴るだけの、そんな「自由帳」です。

「日本スゴイ番組」の“効能”

昨今の日本では、欧米人を日本に招いて(アジア人が招かれることは、皆無といってよい)日本の技術や文化を褒めさせるテレビ番組が、多く見受けられます。いわゆる「日本スゴイ番組」といわれるものです。そのようなテレビ番組の趣旨は、一般的には「日本の素晴らしさを再発見する」もの、あるいは「欧米人に日本の技術や文化を褒められることで、日本人が失った自信を取り戻す」ものであると、しばしば説明されます。

「『欧米人に日本の技術や文化を褒められることで、日本人が失った自信を取り戻す』というのは、排外主義的なナショナリズムの高揚に比べれば『無邪気なナショナリズムの称揚』であって、謙虚さという『日本人の美徳』(「謙虚さという『日本人の美徳』」の真否はさておき)には反するものの、これといった害はないのだから目くじら立てなくてもいいではないか」と思う人も少なくないでしょう。たしかに、「日本スゴイ」の裏返しとして他民族を蔑視したりするのでなければ、これといった害はないかもしれません。しかし、昨今の「日本スゴイ番組」は、本当に「無邪気なナショナリズムの称揚」だけにとどまるものでしょうか。

思うに、「日本スゴイ」番組の“効能”は、「欧米人に日本の技術や文化を褒められることで、日本人が失った自信を取り戻す」だけにとどまるものではありません。「日本人」が「欧米人に褒められることで自信を取り戻す」というのも、「西洋コンプレックス」のゆえです。「日本スゴイ」番組は、そんな「西洋コンプレックス」を抱えた「日本人」のルサンチマンを満たします。それというのも、“弱者”である「日本人」が、“強者”である「欧米人」(しかも、その「欧米人」は、“弱者”である「日本人」の技術や文化に憧れている)に「日本」の素晴らしさを教えることで、「日本人」は「欧米人」に対して優位に立つことができるからです。そうして、「日本スゴイ」番組の視聴者は、日本の技術や文化が「欧米人」に褒められるのを見ることのみならず、「日本人」が「欧米人」に日本の技術や文化の素晴らしさを教える姿を見ることでも快感を得るのでしょう。

このように、昨今の「日本スゴイ番組」は、決して「無毒」なものではなく、ルサンチマンという「毒」を多分に含んだものです。その「毒」は、他でもない「日本人」自身を蝕みます。そのような「毒」に蝕まれた「日本人」の未来は、はたして明るいでしょうか。