あしべの自由帳

こころにうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく。主にラブとピースとエロスにまつわるetc.について考えています。

ヘイトスピーチを真に解消するために

前回のエントリの冒頭でも書きましたが、ヘイトスピーチ解消法の施行後も、在日コリアンに対するヘイトスピーチが各地で行われており、収束の兆しは一向に見えません。それゆえ、「ヘイトスピーチ解消法に罰則規定を……」との声もしばしば聞こえます。たしかに、ヘイトスピーチを効果的に抑制するには、ヘイトスピーチ解消法に罰則規定を設けるのもひとつの方法かもしれません。また、今後の状況次第では罰則規定を設けなければヘイトスピーチ解消法が画餅に帰すこともあり得るでしょう(そうならないためにも、私たちは何ができるか、何をすべきか考えることが大切なのです。)。しかしながら、民族差別的動機に基づく犯罪で刑に服した「活動家」が民族差別煽動に再び手を染めるという現実に鑑みると、ヘイトスピーチ解消法に罰則規定を設けることでヘイトスピーチを「抑制」することができても、はたして「解消」することができるかどうかは疑問です。

もちろん、現状に鑑みれば、ヘイトスピーチ解消法が必要であることについて異論はないでしょう。ですが、言うまでもなくヘイトスピーチ解消法は「対処療法」にすぎません。すなわち、ヘイトスピーチを真に解消するためには「原因療法」が必要だということです。

それでは、ヘイトスピーチの「根本的原因」はいったい何か?思うにそれは、日本政府による民族差別政策であり、あるいはマスメディアを通じた他民族蔑視煽動(それがどのようなものであるかは、「代表格」である産経「新聞」の「報道」を見れば分かるでしょう。)であり、そしてそれらの根底に横たわる「植民地主義」と「アジア(コリア)蔑視観」です。例えば、悪質な「7月9日在日強制送還デマ」*1についても、日本政府(法務省入国管理局)による民族差別的な入管行政が大きな要因であるといえます(だからといって、デマを流した人が免責されるということなど決してありませんが。)。また、朝鮮学校に対するヘイトスピーチヘイトクライムも、まさしく日本政府(と地方自治体)による民族差別的な教育行政に起因するものだといえます。その他にも、日本軍性奴隷問題に絡めたヘイトスピーチや強制徴用問題に絡めたヘイトスピーチといった日本政府による植民地支配と戦争犯罪の正当化に起因するものなど、日本政府の態度が「根本的原因」である例を挙げれば枚挙にいとまがありません。

結局のところ、ヘイトスピーチを真に解消するためには、日本政府が民族差別政策を改め、マスメディアを通じた他民族蔑視煽動をやめることです。そして、そのために何よりもまず、「日本」という国の「差別の構造」によって支配された私たち一人ひとりの「集合的無意識」を変えなければなりません。そこで特に大切なのは、「アジア(コリア)蔑視観」を克服することだと思います。それは決して不可能なことではありません。なぜなら、日本の民族排外主義は、日本人の「民族性」によるものなどではなく、権力によって作られたものだからです。梶村秀樹先生は言います。「日本の天皇イデオロギーや民族排外主義について、僕があえて権力の側がつくったものという面を強調してきたのは、日本人の太閤以来変らぬ民族性といったようないい方は問題の本質をかえってムードでぼかしてしまうと思うからです。人がつくったものだから、われわれはこれをこわしていくことができるのです。自然現象のような『民族性』ということばは絶望に通じていきかねない。」(梶村秀樹朝鮮民族解放闘争史と国際共産主義運動」1971年)

 

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