葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

前エントリ「税関当局による朝鮮高校修学旅行土産の不当没収に断固抗議する」について若干の補足

yukito-ashibe.hatenablog.com

税関当局にによる朝鮮高校修学旅行土産の不当没収について、「日本は“法治国家”なのだから、没収されて当然だ」などと言う人がいます。そのようなことを言う人は、おそらく不当没収に対する抗議を「感情論」だと思っているのでしょう。

しかしながら、それは誤解です。私は、「修学旅行のお土産くらい見逃してあげればいいのに、税関当局には血も涙もないのか」というような人情論で税関当局の不当没収に抗議しているのではありません。修学旅行のお土産を没収することがはたして(“経済制裁”の妥当性はさておき)“経済制裁”の法的根拠である外為法の趣旨に適うのか、甚だ疑問であり、修学旅行のお土産を没収することが法の趣旨を逸脱するものであれば、それは人格権および財産権を侵害する違憲なものでしかないから、私は抗議するのです。

「日本は“法治国家”なのだから」という言葉を使いたがる人は、もしかすると税関や警察といった公権力のすることは常に正しいと思っているのかもしれませんが、それは大きな誤解です。公権力のすることが常に正しいのであるならば、そもそも憲法など必要ありません。つまり、公権力によって個人の人権が侵害されることがあるからこそ、個人の人権を保障する憲法が必要なのです。

日本は、たしかに「法治国家」でしょうが、しかし、それのみならず「法の支配」の原理(専断的な国家権力の支配を排し、権力を法(ここにいう「法」は、議会で制定される、いわゆる「法律」のことではありません。)で拘束する原理)を採用している国家であるはずです。そうであれば、「没収されて当然」ではなく、むしろ人格権および財産権を侵害する違憲な没収は許されないのが当然なのです。