葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

「旧統一教会」批判を民族差別や植民地主義の「免罪符」にしてはならない。

いわゆる「旧統一教会問題」*1について、ネット右翼や一部のリベラル派は、「天皇をサタン呼ばわりする韓国の反日カルト教団が日本を食い物にしている」と言います。

「旧統一教会」に詳しい識者によれば、「植民地時代の民族的恨みを解くこととして、日本で資金を調達してそれを韓国に持ってきて世界的な活動に使う」ことが「旧統一教会」の本質を成しているそうですが*2、もしそうなら、「旧統一教会」は日帝の朝鮮植民地支配が生み出した「モンスター」だといえるでしょう。もちろん、「旧統一教会」による霊感商法献金の強要は、断じて許されるものではありません。しかし、そのことは、決して日帝の朝鮮植民地支配について日本の国民が負う「責任」*3を帳消しにするものではありません。「旧統一教会」に詳しい識者が「旧統一教会」の本質だと言う「植民地時代の民族的恨みを解く」点は、まさに日本の国民が真摯に向き合わなければならない日帝の朝鮮植民地支配という自国の「負の歴史」にかかわるものです。しかるに、日帝の朝鮮植民地支配という自国の「負の歴史」と真摯に向き合わなければならない日本の国民が、「天皇の国」が朝鮮を食い物にしたことを棚に上げて、「旧統一教会」の「植民地時代の民族的恨みを解く」点を非難するのは、盗人猛々しいと言わざるを得ません。

日本発祥のカルト教団も数多くあることからわかるように、カルトは韓国特有のものでは決してなく、それゆえ「韓国発祥であること」はカルト教団である「旧統一教会」の本質的な要素ではありません。しかるに、「天皇をサタン呼ばわりする韓国の反日カルト教団が日本を食い物にしている」と言うネット右翼や一部のリベラル派は、「旧統一教会」の本質的要素ではない「韓国発祥であること」をことさらに強調し「韓国が日本を食い物にしている」という構図を描くのですが、これは韓国を「悪魔視」することにほかなりません。韓国に対する敵意や憎悪が蔓延る日本社会において、かかる韓国「悪魔視」はヘイトクライムにつながりかねません。それゆえ、「旧統一教会」批判にかこつけて韓国を「悪魔視」することは厳に慎むべきです。

もちろん、日本の国民が「旧統一教会」を批判してならないと言うつもりはありません。しかし、日本の国民は、「旧統一教会」批判を民族差別や植民地主義の「免罪符」にしてはなりません。

「旧統一教会問題」について、日本の国民がくれぐれも忘れてならないのは、問題の元凶は、戦後の米国主導の東アジア国際秩序と天皇制国家を支える反共主義体制の構築・発展を使命とする日本の政権与党たる自民党が、その使命を果たすべく同じ理念を共有する危険なカルト教団を利用してきたことにある、ということです。そして、日本の政権与党たる自民党による「旧統一教会」の利用は、日本の国民が「主権者」として向き合うべき日本の「内なる悪」にほかなりません。かかる日本の「内なる悪」は、当然のことながら日本の国民が「旧統一教会」批判にかこつけて韓国を「悪魔視」することでそれを韓国に背負わせても、決して解決しません。つまり、「旧統一教会問題」を根本的に解決するためには、米国主導の東アジア国際秩序と天皇制国家を支える反共主義体制の構築・発展を使命とする自民党政権を打倒し、さらには天皇制を打倒することが必要なのです。