葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

日本は「台湾有事」に「巻き込まれる」のではない。

自民・麻生副総裁“「台湾有事」起きた場合、日本も戦争に巻き込まれる可能性ある”|日テレNEWS

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たしかに、「台湾有事」が起きた場合、日本はそれに参戦するかもしれません。しかし、日本が「台湾有事」に「巻き込まれる」というのは間違いです。

戦後の日本は、日本が犯した侵略戦争への深い反省に基づく憲法9条があるにもかかわらず、朝鮮戦争ベトナム戦争といった「アメリカの戦争」に加担し、憲法9条のおかげで自らの手を血で汚すことなく暴利をむさぼってきました。そして、世界第5位(2022年現在)の軍事大国に成長し*1、「集団的自衛権」の名の下に*2世界最強の軍事力を誇る唯一の軍事超大国であるアメリ*3侵略戦争に参加できるようになった日本は、アメリカと共に対中国戦争に向けた準備に主体的かつ積極的に取り組んでいます*4。つまり、日本は「台湾有事」に「巻き込まれる」のではなく、アメリカの同盟国として「台湾有事」に主体的かつ積極的に参戦するのです。

「台湾有事」に関しては、アメリカが「中国による台湾侵攻の可能性」を盛んに喧伝しています*5。しかし、かつてアメリカが、ベトナム戦争における「トンキン湾事件*6イラク侵攻における「イラク大量破壊兵器所持」*7といった侵攻の口実をでっちあげたことに鑑みると、「台湾有事」に関してもアメリカが中国侵攻の口実を捏造する可能性が十分に考えられます。もしそう考えることを「陰謀論」だと言うのなら、アメリカが盛んに喧伝する「中国による台湾侵攻の可能性」も「陰謀論」だと言えるでしょう。

「台湾有事は日本有事」というスローガンの下、日帝・岸田政権は、対中国戦争に向けた軍事力のさらなる強化を進めています*8日帝・岸田政権やマスメディアは、それを「防衛力の抜本的強化」だと言い、国民の多くもその言葉を真実であると信じて疑いません。しかし、対中国戦争に向けた軍事力のさらなる強化を「防衛力の抜本的強化」だと言うのは欺瞞です。「台湾有事」とは、アメリカが言うような「台湾と世界の民主主義を守るための戦い」*9ではなく、その実は「米国主導の世界経済体制を守るための対中国戦争」です。そして、先にも述べたように日本はアメリカの同盟国としてそれに主体的かつ積極的に参戦するのであって、日帝・岸田政権が進める軍事力のさらなる強化はそのためのものです。こうした軍事力の強化は、憲法9条の下では到底許されるものではないはずです。

1972年に日本と中国との間で調印された「日中共同声明*10によれば、「中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の合法政府であることを承認」し、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する[……]中華人民共和国の立場を十分理解し、尊重」するというのが日本の立場です。その是非はさておき、かかる日本の立場からすれば、台湾・蔡英文政権の対中国認識がどうであれ*11、台湾を支援するべく「台湾有事」に日本が軍事的に関与することは、「中国」の内戦における当事者の一方に加勢するものであって、「国際紛争を解決する手段」としての戦争を放棄を放棄することを定めた憲法9条に違反するものと言わざるを得ません。「台湾海峡両岸関係」*12問題は、まず何よりも中華人民共和国政府と中華民国政府の対話を通じて平和的に解決されるべきものです。しかるに、米帝・バイデン政権と日帝・岸田政権の中国に対する挑発的な態度や、対中国戦争に向けた日米軍事同盟の強化と日本の軍備拡張は、「台湾海峡両岸関係」問題の平和的解決を妨げるものでしかありません。