いわゆる「外国人参政権」賛成論者の中には、賛成の理由として「外国人であっても日本社会に貢献している人はいる」ということを挙げる人がしばしば見受けられます。私は「外国人参政権」賛成論者ですが、しかし、そのような「日本社会への貢献」を理由とすることには賛同できません。
参政権は民主主義を実現するための人権ですが、民主主義とは「治者と被治者が同じであること」をいいます。したがって、被治者であれば、治者として参政権が認められるのが道理です。そして、ここで重要なのは「被治者」であるかどうかであって、「日本国籍者」であるかどうかではありませんし、ましてや日本社会に貢献しているかどうかは全く関係ありません。つまり、「外国人」であっても「被治者」であるならば、「治者」として「日本社会への貢献」云々関係なく参政権が認められるべきなのです。
「日本社会への貢献」を賛成の理由として挙げる賛成論者も、そのつもりはないでしょうが、しかし、「日本社会への貢献」を「外国人参政権」の要件とすることは、日本社会を貫く「同化と排除」の論理による差別です。それとも、まさか「日本社会への貢献」を賛成の理由として挙げる賛成論者は、日本社会に貢献しない「外国人」は「被治者」であっても民主主義のプロセスから排除されても仕方がないとでも言うのでしょうか。
過去の拙記事でも述べましたが、国籍を参政権の要件としないことは、民主主義の本質から要請されるものです。しかるに、その要請に応えず「治者」ではない「被治者」を生み出すような民主主義制度は、残念ながら欠陥制度であると言わざるを得ません。つまり、「外国人参政権」は、民主主義に反するどころか、むしろ日本の民主主義を完成させるために必要なことなのです。
