葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

朝鮮学校差別は、朝鮮学校の問題ではなく日本社会の問題である。

日本の朝鮮学校、10年間で補助金75%減 : 日本•国際 : hankyoreh japan

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日本の政府や地方自治体は、「北朝鮮による日本人拉致問題や核問題」あるいは「朝鮮学校の教育内容」を理由に、朝鮮学校差別を正当化しています*1。日本国民の多くも、それらが朝鮮学校差別を正当化する理由になると信じて疑わないようです。しかし、それらは決して朝鮮学校差別を正当化する理由にはなりません。

日本の政府や地方自治体は、戦後間もない頃(1950年前後)から今日に至るまで、(美濃部都政のような若干の例外はあるものの、)ほぼ一貫して在日コリアンの民族教育を弾圧し*2、あるいは朝鮮学校を差別してきました。一方、日本の政府や地方自治体が朝鮮学校差別を正当化する理由として挙げる「北朝鮮による日本人拉致問題や核問題」が発覚したのは、拉致問題が1980年頃*3、核問題が1990年代前半*4です。つまり、日本の政府や自治体は、「北朝鮮による日本人拉致問題や核問題」が発覚するずっと前から在日コリアンの民族教育を弾圧し、あるいは朝鮮学校を差別してきたのであって、「北朝鮮による日本人拉致問題や核問題」は朝鮮学校を差別するための「後付けの言い訳」でしかないということです。

朝鮮学校の教育内容に疑義を呈する朝鮮学校出身者の声もあることからすると、きっと朝鮮学校の教育内容にもそれなりに何らかの問題はあるのでしょう(もっとも、それは朝鮮学校に限った話ではないはずです。)。しかし、それはそれで民族教育の当事者である在日コリアンが議論して解決すればよいだけの話であって、日本の政府や地方自治体の朝鮮学校差別を正当化する理由にはなりません。

そもそも、在日コリアンの民族教育を必要ならしめたのは、かつての日帝による朝鮮植民地支配です。それを考えれば、日帝による朝鮮植民地支配について責任を負う日本政府は、その責任を果たすべく在日コリアンの民族教育を支援するのが道理です。しかるに、在日コリアンの民族教育を支援するどころか、在日コリアンの民族教育を弾圧し、あるいは朝鮮学校を差別するというのは、無理非道であると言わざるを得ません。

日本の政府や地方自治体による朝鮮学校差別は、朝鮮学校朝鮮総聯の関係や朝鮮学校の教育内容といった朝鮮学校の問題ではなく、日本社会の構造的差別という日本社会の問題です。そして、それは子どもの権利条約が保障する「民族教育を受ける権利」(28条・30条)の侵害という、国際法に違反する人権侵害であり*5、いかなる理由があろうとも、決して許されるものではありません。つまり、日本の政府や地方自治体は、「北朝鮮による日本人拉致問題や核問題」があろうと、朝鮮学校朝鮮民主主義人民共和国を支持する朝鮮総聯と関係があろうと、朝鮮学校に対する差別をやめるべきであり、日本国民は、日本の政府や地方自治体による朝鮮学校差別をやめさせなければならないのです。