あしべの自由帳

芦部ゆきとが言いたいことを書き綴るだけの、そんな「自由帳」です。

「徴用工判決は国際法違反である」という日本政府の主張はデタラメだと言っても過言ではない。

菅長官「明確な国際法違反だ」…資産差し押さえ手続き完了で、韓国批判 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン

 

2018年10月30日に韓国の大法院によって、いわゆる「徴用工判決」が出されて以降、日本政府は事あるごとに「徴用工判決は国際法違反である」という主張を繰り返しています。かかる日本政府の主張を、日本のマスメディアがさしたる検証も批判もせずにそのまま報じているせいか、「徴用工判決は国際法違反である」というのが「真実」であると信じて疑わない日本国民も少なくないようです。しかし、「徴用工判決は国際法違反である」という日本政府の主張はデタラメだと言っても過言ではありません。

日本政府が主張する「徴用工判決は国際法違反である」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではありませんが、ただ、韓国大法院の判決は、たしかに日帝強制動員問題(徴用工問題)が「日韓請求権協定で、完全かつ最終的に解決済みである」という日本政府の主張に反するといえるでしょう。しかし、日帝強制動員問題が「日韓請求権協定で、完全かつ最終的に解決済みである」というのは、あくまでも日本政府の主張にすぎないものであって、それは韓国大法院の判断を拘束するような「客観的真実」では決してありません。また、日本政府は、日帝強制動員問題が「日韓請求権協定で、完全かつ最終的に解決済みである」理由として「日韓請求権協定で日帝強制動員被害者個人の請求権が消滅した」ことを主張していますが、しかしこれは「徴用工判決」後の2018年11月14日の衆議院外務委員会で河野太郎外相(当時)がした「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」という答弁*1と矛盾します。

そもそも、韓国大法院の判決は、「不法な植民地支配下での強制動員による慰謝料請求権は請求権協定の適用対象に含まれない」ということを理由とするものです*2。したがって、それは日韓請求権協定に何ら抵触するものではありません。つまり、「(韓国大法院の判決は)日韓請求権協定に明らかに違反している」という日本政府の主張*3は、デタラメ以外の何ものでもないということです。

日本政府は、もしや「韓国大法院は、日韓請求権協定を解釈するに際し、日本政府の見解に従わなければならない」とでも言うのでしょうか。しかし、それは(韓国大法院の)司法権の独立どころか、韓国の主権を無視した暴論です。また、、日本政府の主張を支持するマスメディアや国民は、過去に韓国の盧武鉉政権が日韓請求権協定で個人の請求権が消滅していることを認めていた話をしきりに持ち出しますが、しかし、司法権の独立に鑑みれば、韓国大法院が過去の政府見解に拘束されなければならないということはありません。

以上より、「徴用工判決は国際法違反である」という日本政府の主張がデタラメであることがお分かりいただけると思います。日帝強制動員問題は、日韓の政治的な対立の問題ではなく、日帝の不法な植民地支配下における人権侵害の問題です。そして、それは現在を生きる日本人が、現在に生きるために向き合うべき日本の「負の歴史」です。しかるに日本人が、日本の「負の歴史」と向き合うどころか、「韓国が約束を守らない」などという政府のデタラメな話*4を鵜呑みにして韓国を蔑視し、あるいは韓国への憎悪をたぎらせるとすれば、それは実に愚かで恐ろしいことです。