前エントリでは、私が済州島の旅で食べた『うまいもの』として、東門市場の新鮮な刺身をご紹介しました。しかし、チェジュの『うまいもの』は、もちろん刺身だけではありません。そこで、本稿では、前エントリの補足として、東門市場の刺身以外で私が済州島の旅で食べた『うまいもの』を、いくつかご紹介したいと思います。
1.コギククス(고기국수)
日本と同様、韓国にも、江原道のマッククスや釜山のミルミョン、晋州の晋州冷麺など、様々な「ご当地麺」があります。そして、済州島の「ご当地麺」が、豚肉が美味しい済州島ならではのコギククス(肉麺)です。
専門店でいただいたコギククスは、程よい太さでコシがあり喉ごしの良い麺で、さっぱりとした優しい味わいのスープとよくなじみます。とろとろに柔らく茹でられた厚切りの豚肉は、まさにとろける美味さです。こちらのコギククス、見た目は九州の豚骨ラーメンと似ていますが、コギククスのスープは豚骨ラーメンのようなクセはなく、豚骨ラーメンが苦手な人でも大丈夫です。
一方、済州バスターミナルの食堂でいただいたコギククスは、専門店とは異なり麺は素麺のような細麺でしたが、これはこれでさっぱりとしたスープと良く合い美味しかったです。酒の後の〆の一杯としては、むしろこちらのようなコギククスが嬉しいかもしれません。
このように、お店によってそれぞれ違う味が楽しめるコギククスですので、いろいろ食べ比べてみるのも面白いと思います。
2.ムルフェ(물회)
ムルフェ(水刺身)の発祥は慶尚北道の浦項といわれていますが、済州島でも郷土料理として親しまれています。特に、チャリ(자리)と呼ばれるスズメダイのムルフェは、済州島ならではの味覚といわれています。そんなわけで、私は済州島を訪れたらぜひチャリムルフェを食べたいと思っていました。
済州島の夏の定番料理だというムルフェ、酢の利いたコチュジャンベースのスープは、たしかに暑さで食欲が落ちやすい夏にぴったりです。スズメダイの刺身は、いわゆるセゴシなので小骨が気になるという話も聞かれますが、私はむしろ小骨の食感が良いアクセントに感じました。日本ではほとんど食べられることのない(なお、福岡の博多では「あぶってかも」と呼ばれ、郷土料理として親しまれているそうです。)スズメダイですが、臭みもなく、雑魚として捨ててしまうのはもったいない美味しい魚です。
ところで、このムルフェですが、元々は「漁師メシ」だったそうで、汁にご飯をぶち込んで豪快に食べるのが最高に美味いです。済州島でムルフェにすっかりハマった私ですが、いつかぜひ元祖である浦項のムルフェも食べてみたいと思っています。
3.アマダイ焼き(옥돔구이)
コギククスも、ムルフェも、済州島を訪れたらぜひ食べたいと思っていた済州島名物料理ですが、これらのほかに、私が絶対に食べようと心に決めていたのが、済州島名産のアマダイ(옥돔)です。日本と同様、済州島でもアマダイは高級魚でして、値段は決して安くありません。しかし、そのふっくらとした柔らかい白身は、程よく脂が乗った上品な旨みで、少々奮発しても絶対に後悔しない、否、むしろ食べなければ後悔する美味しさです。それに、この立派なサイズ、実に食べ応えがあります。
もし済州島で絶対に食べるべき名物をひとつだけ挙げろと言われたら、私はこのアマダイ焼きを挙げたいと思います。そのくらい、済州島のアマダイ焼きは感動的な美味しさでした。
済州島の『うまいもの』は、有名な済州黒豚やアワビだけではありませんよ!ちなみに、アマダイ焼きは定食ですので、焼肉とは違って一人旅にもやさしいメニューです(もっとも、財布にはあまり優しくないかもしれませんが。)。
以上、私が済州島の旅で食べた、チェジュの『美味いもの』を簡単にご紹介しましたが、チェジュの『うまいもの』は、もちろんこれだけではありません。本稿をお読みくださったみなさまも、ぜひ済州島を訪れて、チェジュの『うまいもの』を堪能してみてください。