葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

「徴用工問題」は、日本側が責任をもって解決すべき問題である。

日韓首脳会談、徴用工問題は平行線 文氏は解決策示さず:朝日新聞デジタル

 

朝日新聞は、「会談で文氏からは(徴用工問題の)新たな解決策は示されなかった」などと書いていますが、どうして文在寅大統領が日帝強制動員問題の解決策を示さなければならないのでしょうか。朝日新聞の記者は勘違いしていますが、日帝強制動員問題(徴用工問題)は、日帝の植民地支配による加害責任の問題なのですから、あくまでも日本側が責任を持って解決すべき問題です。したがって、もし日帝強制動員問題の解決策を示す必要があるとしても、それをすべきなのは韓国側ではなく日本側です。しかるに、安倍氏が「韓国側の責任において解決策を示して欲しい」などと韓国側に求めることは、責任転嫁に他なりません。

日本政府によれば、安倍氏は「元徴用工らへの賠償問題は日韓請求権協定で解決済みとの立場」から、韓国側に対して「韓国側の責任において解決策を示して欲しい」と求めたのだそうです。しかし、日帝強制動員被害者らへの賠償問題が日韓請求権協定で解決済みだというのは、安倍氏の誤解です。なぜなら、そもそも日韓請求権協定は、たとえそれが「(日韓)両国及びその国民の財産並びに両国及びその国民の間の請求権に関する問題」を完全かつ最終的に解決したとしても、それは決して日帝強制動員被害者らへの賠償問題を完全かつ最終的に解決するものではないからです。つまり、日韓請求権協定は、それに基づき日本が韓国に対して供与した5億ドルの趣旨が「独立祝い金」であって賠償金ではないというのもありますが*1、より根本的には、日韓請求権協定が、米日韓三角軍事同盟を支える「日韓65年体制」という新植民地主義的な体制を確立し維持するために、日本が韓国の「親日政権」を経済的に支える一方、その見返りとして、日帝による朝鮮植民地支配の不法性を不問に付し、「親日政権」が日帝植民地支配の被害者を強権的に抑圧するものであって、日帝植民地支配にまつわる賠償問題を何ら解決するものではないということです。

このように、日韓請求権協定がいわば「臭い物に蓋をする」だけのものであって、日帝植民地支配にまつわる賠償問題を何ら解決しない以上、前述のとおり日帝の植民地支配による加害責任を負っている日本側が主体的に問題解決に取り組まなければなりません。もっとも、日本側は、問題解決のために新たな解決策を示す必要はありません。なぜなら、加害企業が韓国大法院の判決*2を誠実に履行し、日本政府が日帝による朝鮮植民地支配の不法性を認めて加害企業による判決の誠実な履行を妨げないこと以外に、日帝強制動員問題を完全かつ最終的に解決する方法はないからです。