葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

株式会社FMGによる韓国人スタッフに対する人権侵害に、断固抗議する。

チェジュ航空の日本協力企業「慰安婦後援ブランドのカバン持つな」

| Joongang Ilbo | 中央日報

https://japanese.joins.com/article/641/249641.html

 

この事件、卑劣な、あまりにも卑劣な、人間の尊厳に対する蹂躙です。

韓国・中央日報に記事によれば、空港地上支援業務を請け負っている日本企業である株式会社FMGが、同社で勤務する韓国人スタッフAさんにした「マリーモンド*1のカバンを持つな」との指示は、(Aさんの話によると)「入社1年内に退社するとひと月分の月給より多い違約金を支払うことになっている雇用契約のため、異議を提起でき」ず、「入社前、会社側が外国人労働者ビザを受け入れたので違約金条項を甘受するよう強要し……仕事場を見つけなければならなかったため、使用側が提示した勤労契約書に同意するほかはない状況だった」という、入社して間もない外国人労働者の弱い立場につけこむという(そもそも、労働契約に違約金を規定することは、労働基準法第16条に抵触し違法です。)、卑劣極まりないものだといえます。そして、たしかにマリーモンドは日本軍性奴隷被害者を支援していますが(そもそも、日本軍性奴隷被害者を支援することの何が悪いというのでしょうか?)、マリーモンドのカバンそのものは「政治スローガンが書かれていたものでもな」く(そもそも、日本軍性奴隷問題は「政治」や「イデオロギー」の問題ではありませんが)、また、マリーモンドのカバンを持つことが空港地上支援業務を支障をきたすなどということは、常識的に考えてありえないのですから、「マリーモンドのカバンを持つな」との指示は、明らかに合理的根拠を欠く不当な「良心の自由」の侵害であるといわざるをえません。

このように、株式会社FMGが、同社で勤務する韓国人スタッフAさんにした「マリーモンドのカバンを持つな」との指示は、Aさんの「良心の自由」を不当に侵害するものであって、たとえ私企業といえども到底許されない人権侵害ですが、問題はそれだけではありません。それというのも、マリーモンドが日本軍性奴隷被害者を支援していることを理由に「マリーモンドのカバンを持つな」というのは、日本軍性奴隷被害者の方の尊厳を踏みにじるものでもあり、また、日本国民の他民族憎悪を助長するものであるからです。つまり、二重三重の意味で人間の尊厳に対する蹂躙であるといえます。

この事件の発端は、共同通信の報道によれば*2「社外の人からの指摘があった」とのことです。そうだとすれば、この事件は、日本軍性奴隷問題の正当化に腐心する日本政府や右翼による、日本軍性奴隷被害者とその支援者に対する敵視扇動が惹き起こしたものであるといえるでしょうし、そもそも、日本軍性奴隷被害者とその支援者を敵視し、人間の尊厳を軽んずる「価値観」が、日本社会であまねく共有されているからこそ惹き起こされたともいえるでしょう。つまり、この事件は単に一企業の問題ではなく、日本社会そのものの問題であり、そうであればこそ、私たち日本の市民は、私たちの社会の問題を勇気をもって告発してくださった韓国のAさんを、絶対に孤立させてはなりません。

以上、本稿をもって株式会社FMGによる韓国人スタッフに対する人権侵害に、断固抗議します。