葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

「元ネット右翼」のあなたへ

「私がネトウヨになったのは、外国人の権利を主張するばかりで日本人のために権利を主張してくれない左翼のせいだ」と言う、元「ネット右翼」の人がいます。どうやら、そのような言い訳に共感し、左翼に反省を求めるリベラル人士も少なくないようです。

もちろん、左翼に反省すべき点はない、などと言うつもりはありません。しかし、それでも私は、元「ネット右翼」の人のそのような言い訳には共感できません。なぜなら、「外国人の権利を主張するばかりで日本人のために権利を主張してくれない左翼のせいだ」というのは「外国人」や「左翼」をスケープゴートにするものであって、それはまさに排外主義右翼のやり口そのものだからです。つまり、そのような言い訳をする元「ネット右翼」の人は、残念ながら未だ排外主義を克服できていないと言わざるを得ないでしょう。

「私がネトウヨになったのは、外国人の権利を主張するばかりで日本人のために権利を主張してくれない左翼のせいだ」と言い訳する元「ネット右翼」の人は、誤解しています。あなたを苛む漠然とした“恐怖”や“不安感”の原因は、「外国人」でもなければ「外国人の権利を主張するばかりで日本人のために権利を主張してくれない左翼」でもありません。どうか、あなたを苦しめる「真の原因」を見誤らないでください。

もちろん、左翼が(むしろ、左翼であればこそ)人間を切り捨ててはならないのは、言うまでもないことです。しかし、「切り捨ててはならない人間」ということに、「日本人」も「外国人」も関係ありません。そうであれば、そもそも「日本人のために」だとか「外国人のために」と考えることが間違っています。どうか誤解しないでください。左翼は「外国人」の権利を主張しているのではありません。「外国人」だからという理由で切り捨てられている人間の権利を主張しているのです。そして、人間が「外国人」だからという理由で切り捨てられているからこそ、「外国人」だからという理由で人間を切り捨てることを糾弾しているのです。

あなたが誤解していることは、まだ他にもあります。それは、左翼はあなたを救済する弁護士でも宗教家でもないということです。あなたがやるべきことは、「左翼が私を救ってくれない」と左翼を恨み「ネット右翼」となってあなたと同じように踏みつけられている人を踏みつけることではなく、あなた自身が左翼となって、あなたと同じように踏みつけられている人と共に声を上げることです。私は左翼ですが、あなたを苦しみから救うことなどできませんし、私があなたを苦しみから救ってあげましょうなどと言うのはおこがましいことです。しかし、あなたと同じように踏みつけられている私は、あなたと共に声を上げることができます。「草の根の左翼」は、あなたと同じ踏みつけられている人間なのです。