葦辺の車家ブログ

自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない車家(くるまや)ゆきとが感じたこと・考えたことをそこはかとなく書き綴ります。

三浦瑠麗氏とフジテレビによる民族差別煽動に断固抗議する

三浦瑠麗氏、ワイドナショーでの発言に批判殺到 三浦氏は「うがった見方」と反論
http://www.huffingtonpost.jp/2018/02/12/ruri-miura_a_23359021/

 

残念ながら、「大阪に北朝鮮のテロリスト分子が潜んでいる」という三浦瑠麗氏の発言の何が問題であるか分からない、あるいは分かろうとしない人が少なくないようです。

たしかに、「国際政治学者」を名乗る三浦氏が明確な根拠もなくこのような発言をした点は非難されてしかるべきでしょう。しかし、問題の本質は、三浦氏の発言内容の信憑性ではありません。

それでは、問題の本質はいったい何か。思うにそれは、「大阪に北朝鮮のテロリスト分子が潜んでいる」という三浦氏の発言によって、大阪で暮らしている在日コリアンが何の根拠もなく「北朝鮮のテロリスト分子」と認定されてヘイトクライムの標的とされる危険があるということです。

これに対して、「たとえ在日コリアンヘイトクライムの標的とされる危険があるとしても、北朝鮮のテロリスト分子が潜伏しているのは“事実”であり、三浦氏はその危険を警告しただけだ」という反論もあるでしょう。しかし、はたして三浦氏がワイドショー番組で「大阪に北朝鮮のテロリスト分子が潜んでいる」などということを大衆に喧伝することが、はたしてどれだけ「テロ」の抑止に役立つといえるでしょうか。三浦氏の発言は、「テロ」の抑止に役立つどころか、むしろ「北朝鮮のテロリスト分子」と大阪で暮らす在日コリアン牽強付会する差別主義者によるヘイトクライムを誘発する危険のあるものでしかないでしょう。先般、名古屋で起きた「イオ信用組合放火事件」*1や東京で起きた「駐日韓国文化院放火事件」*2といったヘイトクライムの発生に鑑みれば、根拠が不明確な「北朝鮮テロリスト分子によるテロ」などというものよりも、三浦氏の発言によって在日コリアンを標的としたヘイトクライムが発生することのほうが、よほど「いまここにある危険」であるといえます。もっとも、三浦氏は「日本の安全保障のため」だなどと言っているようですが、かつて日本では「治安維持」の名目で多くの(日帝支配下の朝鮮の)朝鮮人や(帝国日本の)在日朝鮮人が殺された、という歴史*3*4を忘れてはなりません。

このように、ワイドショー番組での三浦氏の発言自体、民族差別煽動であって許されないものですが、その後の三浦氏の「私は番組中、在日コリアンがテロリストだなんて言っていません」という言い訳も、およそ通用するものではありません。すなわち、朝鮮民主主義人民共和国による「日本人拉致問題」や「核・ミサイル問題」と在日コリアン牽強付会したヘイトスピーチが日本社会に蔓延している現実を軽視ないしは無視するものであり、つまるところ民族差別煽動を正当化するための詭弁に過ぎない、ということです。ましてや「逆にそういう見方を思いついてしまう人こそ差別主義者だと思います」という(ハフィントンポスト日本版の取材に対する三浦氏の)発言は、醜悪としか言いようがありません。

それでもまだ三浦氏の発言の何が問題であるか分からないというのであれば、たとえばもしある国のテレビ番組で「(在外日本人が多く暮らしている街である)○○では、日本の公安調査庁が我が国に放ったスパイが、某国情報局のスパイと協力して我が国の政権転覆をするべく潜伏している」などと流されたとしたら、ということを考えてみてください。おそらく日本国民は「そんなのは何の根拠もないデマだ」と抗議するでしょう。しかし、外国で公安調査庁の協力者だという日本人がスパイ容疑で当局に身柄を拘束されるという事件が起きたのも“事実”*5です。それを考えると、はたして「何の根拠もないデマだ」と言い切ることができるでしょうか……これと同じことを言っているのが、三浦氏とその擁護者なのです。そう、問題は「日本人スパイが○○に潜伏している」のが事実かどうかではありません。○○で暮らしている日本人が何の根拠もなく「スパイ」と認定されてヘイトクライムの標的とされる危険があるということこそが問題なのです。もっとも、このように「在日コリアン」を「日本人」に置き換えなければ三浦氏の発言の何が問題であるか分からないというのは、正直なところいかがなものかと思いますが……。

以上、私は本稿をもって、三浦瑠麗氏とフジテレビに断固抗議します。私は、三浦瑠麗氏とフジテレビによる民族差別煽動を絶対に許容しません。