あしべの自由帳

芦部ゆきとが言いたいことを書き綴るだけの、そんな「自由帳」です。

日本は「日韓“慰安婦”合意」を自らの手で破棄しなければならない。

立憲主義」という言葉の意味を真に理解しているかどうかはさておき、おそらく多くの日本国民が、「日本は立憲主義国家である」ことを信じて疑わないでしょう。もちろん、私も「日本は立憲主義国家である」ことを信じて疑わない人間の一人です。

さて、「日本は立憲主義国家である」ことを信じて疑わない日本国民の中には、日本軍性奴隷問題に関する安倍首相の「(日韓“慰安婦”)合意は国と国との約束だ。韓国側には誠意をもって実行してもらいたい」という主張*1を“正論”だと思う人も少なくないでしょう。しかし、私は日本が立憲主義国家であると信じて疑わないからこそ、安倍首相の主張を詭弁としか思えません。

なぜ安倍首相の主張は詭弁であるか。思うに、それは日本が立憲主義国家であるならば、むしろ日本政府は「日韓“慰安婦”合意」を自らの手で破棄するのが理に適うからです。すなわち、日本国憲法は「個人の尊厳」を基本理念としています。そして、「人権は、人種、性、身分などの区別に関係なく、人間であることに基づいて当然に共有できる権利である」という「人権の普遍性」に鑑みれば、ここでいう「個人」とは「日本国民」に限られません。そうだとすれば、(安倍政権と当時の朴槿恵政権が)「個人の尊厳」よりも「国益」を優先したものであり、さらには日本政府が被害者の尊厳回復のための努力を拒否する口実としている「日韓“慰安婦”合意」は、日本国憲法の基本理念に反するものであるといえます。したがって、日本が立憲主義国家であるならば、日本政府は「日韓“慰安婦”合意」を自らの手で破棄しなければならないのです。

しかるに、日本政府の長である安倍首相は、日本国憲法の理念に従い「日韓“慰安婦”合意」を自らの手で破棄するどころか、「(韓国の文在寅大統領に)日本人の怒りを感じさせないといけない」などと息巻いています*2。「日本人の怒りを感じさせないといけない」などというのは、日本が加害者であることを忘れた傲慢な戯言です。安倍首相には、そのような戯言をのたまう前に、日本帝国主義に尊厳を踏みにじられている人々の怒りや悲しみをぜひとも感じていただきたいものです。