あしべの自由帳

芦部ゆきとが言いたいことを書き綴るだけの、そんな「自由帳」です。

「多様性の尊重」は、「個人の尊厳の否定」を肯定しない。

昨今、「多様性の尊重」ということがしきりに言われています。もちろん、私も「多様性の尊重」に異論はありません。しかし、「多様性の尊重」ゆえに、いかなる主義主張であっても許容すべきだという考えには、私は賛同できません。

思うに、「多様性の尊重」の趣旨は、個人の尊厳を確保することにあります。しかるに、個人の尊厳を否定するような主義主張であっても「多様性の尊重」ゆえに許容すべきだと考えることは、いわば「多様性の尊重」の“自殺行為”であり、「多様性の尊重」の趣旨にもとるものだといえます。そうだとすれば、言うまでもなく人種・民族差別や性差別を肯定する主義主張が「多様性の尊重」によって許容されることはありませんし、戦争犯罪や植民地支配による個人の尊厳の蹂躙を正当化ないし美化するような主義主張も、「多様性の尊重」の趣旨にもとるものですから、それらが許容されることはありません。

「多様性の尊重」は、なによりもまず自らと異なる「他者」を「尊重」することであり、単に「他者」に干渉しなければよいということではないと、私は思います。たとえ「他者」に干渉しないとしても、「他者」に対して「侮蔑のまなざし」を向けるのであれば、それは決して「多様性の尊重」であるとはいえないでしょう。