あしべの自由帳

こころにうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく。主にラブとピースとエロスにまつわるetc.について考えています。

乙支유람

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韓国の首都・ソウルは、香港、シンガポールバンコク、上海、東京などと同様、アジアを代表する世界都市です。そのソウルの中心部にある街・乙支路に、「かつてのソウル」の姿をとどめたコルモク(路地)があります。高層ビルが立ち並ぶ「現在のソウル」にあって、このコルモクに少々寂れた印象を抱く人も少なくないかもしれません。しかし実は、そのコルモクこそ、現在の「世界都市ソウル」を形作った、まさに「原動力」なのです。

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過日、私はその乙支路のコルモクを歩いてみました。

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韓国の産業発展というと、多くの人がサムスンやLG、現代自動車などを思い浮かべるでしょう。しかし、それらはあくまでも「表層」にすぎません。サムスンなどの躍動に代表される韓国の産業発展を根底で支えたエンジニアたちの町、それが乙支路の「鉄工路地」です。

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「鉄工路地」は、今もなお多くのエンジニアの皆さんが韓国の産業発展を根底で支え続けています。そのようなエンジニアの皆さんの仕事に対する若い人たちの関心が高まっているのでしょうか、「鉄工路地」では、金属加工に勤しむ職人さんに何やら質問していた若い見学者の姿を目にしました。

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鉄工路地界隈には、このような雰囲気のあるコルモクが多く残っており、映画のロケ地にも使われたりしているようです。

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こちらは鉄工路地からほど近い場所にある、山林洞という地域です。

街は生き物ですから、死にゆく細胞もあります。しかし、「死」があるからこそ「生」があるのであり、つまり「生」はエロスの力によって「死」から生まれるのです。そんな、「死」から「生」を生み出すエロティックな「魔術」を扱うのは、芸術家の仕事です。「死にゆく細胞」であるこの街でも、芸術家が工房を設けて「エロスな仕事」を担っていました。

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私が今回訪れた乙支路のこのコルモクも、もしかするとそう遠くないうちに姿を消してしまうかもしれません。もちろん、街は生き物ですから、それは仕方のないことです。

ですが、都市再開発は、ただ単に街を作り変えることではなく、今も韓国の発展を根底で支えている多くの人たちが生きるこの街を生かす「再生」であって欲しいと、私は切に願います。街は、そこで生きる人たちがいるからこそ、街なのですから。