あしべの自由帳

こころにうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく。主にラブとピースとエロスにまつわるetc.について考えています。

ヘイト・スピーチの法規制の是非を考える上での視点についての私見

しばしば、ヘイト・スピーチの法規制に反対する人は、その理由として「ヘイト・スピーチによって未だ具体的な個人の権利侵害が発生したとはいえない」ということを挙げます。 たしかに、民法の不法行為といった現行法に関する議論についていえば、まさしくそ…

「護憲」とは、憲法を全く変えないことではない。

安倍首相:改憲あらためて意欲「9条議論は尚早」 - 毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20160205/k00/00m/010/090000c おそらく、安倍首相をはじめ多くの「改憲」論者は、「『護憲』とは、憲法を全く変えないことである」と思っているのでしょう。ですが…

「ゲンダイアート」批判序説

「ゲンダイアート」なるものがいったい何なのか、私にはよく分かりません。ですが、その界隈の人々の言動から推察するに、どうやらそれは「タブーを侵犯する」ものであるようです。また、「ゲンダイアート」界隈の人の中には、「アーティストって肩書きは『…

あえて言おう、「『ヘイトスピーチ』の自由」は「表現の自由」ではない、と。

私はこれまで「『ヘイトスピーチ』は断固として許すべきではないが、しかし『表現の自由』の重要性に鑑みれば、『ヘイトスピーチ』に対する法的規制については慎重であるべきだ」と考えてきました。 ですが現在、私はその考えを変えつつあります。というのも…

「反日」と「嫌韓」

昨今の日本では、海外の国についてその国を好きな理由として「『親日』だから」ということを挙げる人が、少なからず見受けられます。なんとも受け身というか消極的な理由だと私などは思ってしまいますが、本稿ではそれについてとやかく述べるつもりはありま…

「嫌萌」批判論序説

昨今、インターネット上でしばしば見聞するのが、いわゆる「萌えキャラ」広告に対する批判です。 先般の「『のうりん』ポスター」問題については、以前のエントリでも述べましたが、イラストの構図に関しての批判は甘受すべきだというのが私の考えです。 で…

子供たちに「負債」を負わせないために

対北朝鮮独自制裁:再入国禁止対象を拡大…自民案基に検討 - 毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20160113/k00/00m/010/146000c 「戦後70年談話」で安倍首相は、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪…

抗日記念館が「反日」施設ならば、ホロコースト記念館は「反ドイツ」施設なのか?

日本では、韓国や中国に存在する、いわゆる「抗日記念館」を「反日施設」だと言う人が少なからずいます。そのような人に問いたいのですが、もし「抗日記念館」が「反日施設」ならば、世界各地に存在する、いわゆる「ホロコースト記念館」は「反ドイツ施設」…

表現の自由が、本当に「自由」であるために。

日本国憲法第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大…

「エロティック・オタキズム」と「フェミニズム」は、なぜこうも相容れないのか。

昨今、インターネット上でしばしば「『オタク』vs『フェミニスト』」という対立構図を目にします。しかし、どうも私には、両者の言い分はいずれも、他方に対する偏見や誤解による一方的なもののような気がしてなりません。 そこで、僭越ながら俗流シブタツ主…

「『のうりん』ポスター問題について、いちオタクとして私なりに考えてみた。

胸元強調アニメポスター批判相次ぎ撤去 岐阜・美濃加茂:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASHCZ63VMHCZOHGB015.html はじめにお断りしておきますが、私は、「二次元」をこよなく愛し、また下手の横好きですが時にはちょっぴりエッチな絵を描…

普遍的な価値としての、学問の自由を守るために――「『帝国の慰安婦』問題」雑感

在宅起訴された慰安婦本著者「考え受け入れられず残念」:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASHCM3RWBHCMUHBI011.html いわゆる「従軍慰安婦問題」をめぐる朴裕河教授の言説に関しては、本稿ではその中身の当否に踏み込むことはしませんが、…

鈴木道彦『越境の時―一九六〇年代と在日』雑感

越境の時―一九六〇年代と在日 (集英社新書) 本書は、2007年に集英社新書の1冊として刊行されたものですが、しかし、いまこそ多くの「日本人」に読まれてほしい1冊だと思います。 残念ながら、本書で取り上げられている1960年代から50年余りが経った現在に…

未来に生きる小毬、過去に生きる理樹。

以下の拙稿は、PCゲーム『リトルバスターズ!』に関する考察です。 神北小毬は、未来に生きる人である。 幼い日の小毬にとって、兄である拓也は、かけがえのない存在であった。 それは、小毬自身の実存の証であるといってもいいだろう。 しかし、〈神〉は無…

ソウルで少しだけ考えたこと

9月某日から数日間、韓国の首都ソウルを旅しました。 奇妙なことに、私はこの色、におい、ざわめきにコヅかれ、ゆれながら、ふと自分の肉体の故郷にかえった懐しさ、温かみを覚える。私の祖先は韓国から来たのではなかったかもしれないが。それよりも、ここ…

「憲法解釈」に対する誤解について

憲法9条をめぐる議論において、よく耳にするのが、「護憲派は憲法9条を守れと言いながら、自衛隊を違憲だと言わないのは矛盾だ」という言説です。このような言説は、主に改憲論者によって主張され、一見すると至極正当であるように思われます。 しかしなが…

「必要かつ相当」であるということ、あるいは安保関連法に関する考え方が性表現規制問題に及ぼす影響について。

オタク同志諸姉諸兄のなかには、先般成立した安保関連法に賛成の人もいらっしゃるかと思います。 もちろん、安保関連法への賛否は個人の自由です。 ですが、安保関連法を成立させた政権サイドの「思考法」の問題性について、ほんのちょっとでもいいですから…

あえて言おう、「軍事的抑止力」は気休めに過ぎない、と。

安倍政権は、「集団的自衛権の行使によって抑止力が高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなる」と言います。 ですが、私はこの「軍事的抑止力」なるものに関しては、懐疑的な立場です。 軍事力を高める事が、戦争の抑止に繋がるというのであれば、ど…

「民主主義とは多数決である」という、根深い誤解について。

「民主主義とは多数決である」――おそらく、この命題を正しいものだと信じて疑わない人は少なくないでしょう。どうやら、安倍首相もそのうちの一人であるようです。 多くの人が信じて疑わないであろう「民主主義とは多数決である」という命題ですが、しかし、…

「独裁国家」の、民主主義。

中国の反ファシズム宣伝、史実違うと批判 党は統制強化:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASH8W419FH8WUHBI00L.html 上記リンク先の記事を読んで、おそらく「政権に都合よく歴史を修正し、政権の歴史観にそぐわない情報を排除する中国は、な…

安倍談話と「不自由主義史観」

先般発出された「戦後70年の安倍談話」に関して、気になる点は一つに留まりません。 ですが、あえて一つ挙げるならば、日本が「進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行」ったのは、「世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロッ…

「戦後70年の安倍談話」雑感、あるいは安倍談話と「植民地支配」について。

安倍首相の戦後70年談話全文:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASH8G5W9YH8GUTFK00T.html 「戦後70年の安倍談話は、日本の植民地支配を美化している」――こんなことを言えば、「保守派」の諸姉諸兄から「首相談話には『植民地支配から永遠…

「戦後70年談話」に関して、安倍政権が本当に憂慮すべきこと。

鳩山元首相が「謝罪」、韓国でひざまずく : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150813-OYT1T50006.html 今回の鳩山元首相の行動に関して、「安倍首相が戦後70年談話を出す直前にこのような行動をとるなんて」と、戦後7…

憲法9条をめぐる問題の本質に関する試論

改憲論者はしばしば、護憲論者に対して「憲法9条で国が守れるのか」と問います。護憲派を自認する私ですが、そんな私も「憲法9条で国が守れる」などと考えてはいません。そもそも、憲法9条が敵の攻撃から身を守る魔法のバリアだなどという馬鹿げたことは…

騙されませんよ、武藤貴也さん。

武藤・自民衆院議員:学生批判ツイート「撤回しない」 - 毎日新聞 http://mainichi.jp/shimen/news/20150805ddm041010167000c.html 市民の批判に対して、「若い人は扇動されてだまされている。法案が通っても戦場に行かされることはない」などと答える武藤貴…

児童ポルノ禁止法の、根本的な問題について。

児童ポルノの単純所持罰則化に関して、これを性的表現の自由に対する重大な脅威であると感じている人は、少なくはないと思います。 しかし、他方で「そもそも単純所持の罰則化以前から児童ポルノそのものは違法であるから、単純所持が罰則化されたからといっ…

安保法制問題雑感

憲法解釈変更「法的安定性は無関係」 礒崎首相補佐官:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASH7V5T5MH7VULFA004.html 磯崎首相補佐官の発言に関しては、たしかに法的安定性の軽視も問題だと思います。 ですが、むしろそれ以上に「必要であれば…

ぼくの「秘密の花園」を守って

先日、なんとも光栄なことに、かの「ろくでなし子」さんが、私の駄ツイートに反応してくださりました。 (´-`).。oO(死刑執行人てものすごい大袈裟なたとえに鼻水吹いた https://t.co/OZo0o8R50d — ろくでなし子 (@6d745) 2015, 7月 25 (´-`).。oO(たしか…

「戦争に巻き込まれる」ということの違和感

護憲派の人々は、「集団的自衛権の行使が容認されるとアメリカの戦争に巻き込まれる」と主張します。これに対して、安倍首相は、アメリカの戦争に巻き込まれることは絶対にあり得ないと反論します。 ですが、私は「戦争に巻き込まれる」ということに、どうし…

児童ポルノ禁止法雑感

私が思うに、児童ポルノ禁止法に批判的な人々は、決して「児童ポルノ」を肯定しているわけではありません。児童ポルノ禁止法でいう「児童ポルノ」がいったい何であるか不明確であるが故に、この国で生活する人々が予測できない、そして本来受けるべきではな…

「ろくでなし子さんは、道徳的な人です」

「ろくでなし子さんは、道徳的な人です」――こんなことを言えば、道徳家を自認する諸姉諸兄から、「猥褻物を頒布するような人が道徳的であるものか!」とお叱りを受けてしまうかもしれません。 たしかに、性器を模ったオブジェを公然と陳列したり、性器の3D…

差別語の差別性、あるいは猥褻物の猥褻性について

差別的言動をした人が、「その言葉は、本来は差別語ではない」といった言い訳をするのを、しばしば見聞することがあります。 たしかに、言葉そのものが本来的に差別性を持たないというのは、間違いではないかもしれません。 ですが、そのことは決して、差別…

「集団的自衛権」雑感

集団的自衛権をめぐる議論に関して、素人ながら思うことがあります。それは、例えば「集団的自衛権行使の否定論者は、外敵からの脅威に対して丸腰で臨めと言うのか」などというように、集団的自衛権行使の必要性を説く人は、集団的自衛権と個別的自衛権を混…

安倍政権の形而上学

(70年目の首相)「自民党取り戻す」という意識 八木秀次・麗沢大教授 朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/DA3S11805891.html 上記リンク先の記事のなかで、安倍首相のブレーンであるとされる八木秀次教授は、「現行の憲法が立脚している『ポツ…

インターネット雑感

かねがね私が思っているのは、「生身のコミュニケーション」の大切さを説く人ほど、インターネットをなにか特別な空間世界であるかのように畏敬しているのではないか、ということです。 それはたとえば、インターネットを「仮想現実」と呼び、それがまるで人…

憲法21条を護るだけでは、表現の自由を護ることはできないのかもしれない。

いま、表現の自由にとって最も憂慮すべきなのは、表現者に対する警察の不当逮捕かもしれない――こんなことを言えば、「罪を犯したのだから逮捕されて当然だ」と反論されるかもしれません。 しかし、そもそも「罪を犯したのだから逮捕されて当然だ」というのは…

永遠は、ここにあるか――「永遠」に関する存在論的な差異についての試論

ある人が、「永遠は、ここにある」と言いました。 しかし、私たちは知っています。 この世界では、何もかも変わらずにはいられない、ということを。 「いま、この時」も、永遠にここに留まることはできず、過去へと変わらずにはいられない、ということを。 …

正論と詭弁、あるいは『佐伯コラム』のトリックについて

(異論のススメ)日本の主権 本当に「戦後70年」なのか 佐伯啓思 - 朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/DA3S11685246.html 上記リンク先のコラムのなかで、佐伯氏は「確かに、サンフランシスコ講和条約には、連合国は日本国民の「完全な主権」…

どうしてウルトラ怪獣は職務質問されなければならないのか

(とてもシュールな絵で好きですが、職務質問したくなります…)(甲)RT @otakumatch: ウルトラ怪獣街ブラ番組『ウルトラ怪獣散歩』月1レギュラー決定 http://t.co/Tz29Jrm1Fm pic.twitter.com/Yiu9db5MI8 — 警視庁犯罪抑止対策本部 (@MPD_yokushi) 2015, 3…

「表現の自由」に関する雑感

もしかすると、「ヘイトスピーチ」や「『シャルリー・エブド』の風刺画」といった「表現の自由に係わる社会問題」について、表現の自由が自由過ぎた故のいわば「表現の自由の暴走」であると思う人がいるかもしれません。 しかし、果たして本当にそれは、表現…

澁澤龍彦『エロティシズム』雑感

エロティシズム (中公文庫) エロティシズムについて真面目に考えたいと思う私にとって、澁澤龍彦氏の著作である『エロティシズム』(中公文庫)は、いわば「エロティシズムの入門的教科書」です。 澁澤龍彦氏といえば、マルキ・ド・サドの著作物翻訳出版のわ…

フリージャーナリストはもういらない?画期的提案

なぜジャーナリストは戦場に行くのか~安易な「自己責任論」ではなく「冷静な議論」を 弁護士ドットコムニュース http://www.bengo4.com/topics/2584/ フリージャーナリストと呼ばれる人々や民間ボランティアの人々は、どうして慈悲深い政府の勧告を無視して…

『CLANNAD』における「家族」の意味について

以下の拙稿は、PCゲーム『CLANNAD』に関する考察です。 CLANNADのテーマは、「家族」であると言われる。 たしかに、CLANNADでは、朋也とその父である直幸との冷え切った家族関係や、古河家の温かい家族関係が描かれている。 だが、私は、CLANNADのテーマであ…

『リトルバスターズ!』と永遠回帰

以下の拙稿は、TVアニメ『リトルバスターズ!~Refrain~』に関する考察です。 「理樹と鈴を成長させるために、理樹と鈴が待ち受ける過酷な現実に負けない強い〈力〉を得ることができるようにするために、永遠に1学期が繰り返される世界を作り出した」と、…

築地市場の豊洲移転と、エロティックな表現の規制を結ぶもの補稿

我ながら、前エントリは、いささか非合理的でオカルティックだったように思います。 そんな拙稿と比べて、東京都が主張する、築地市場の豊洲への移転理由は、なんと合理的なもの(http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/faq/01.html#qa1-1)でしょうか。 …

築地市場の豊洲移転と、エロティックな表現の規制を結ぶもの

築地ブランド、どう継承 首都圏の台所、16年に大移動 - 朝日新聞デジタル http://t.asahi.com/gsc3 2016年にも築地から豊洲へ移転するという、東京都中央卸売市場。 移転先の土壌汚染問題等もあってか、どうやら未だに反対の声は根強いようです。 私自身、…

ポルノグラフィーを制約してよいのは、「エロ」だけである。

かねてより申し上げておりますが、私は、いわゆる漫画やゲーム等の性的な表現を、公権力によって規制することに反対する者です。 ですが、性的な表現が全く無制約であってよいかといえば、そうは思いません。 こんなことを言えば、「オマエは性表現の規制に…

「刑法175条は悪法」だから「逮捕は不当」なのだろうか?

北原みのり氏と「ろくでなし子」氏を逮捕 わいせつ物陳列の容疑 http://huff.to/1vJB00F いわゆるわいせつ物公然陳列事件にまつわる論評において、しばしば「刑法175条(わいせつ物頒布等罪)は悪法だから逮捕は不当だ」という主張が見聞されます。このよう…

嫌萌論序説

はじめにお断りしておきますが、私はいわゆる「萌え絵」が嫌いではありません。むしろ、私はいわゆる「萌え絵」が大好きな人間です。 しかし、ご存知のように、世の中には萌え絵を忌み嫌う人が少なからず存在します。 もしも彼や彼女に、どうして萌え絵を忌…

つまるところ、信仰の問題。

大学の自治に一石 京大私服警官取り押さえ http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20141109000014 京大熊野寮捜索、学生らともみ合いも 大学には事前通告 http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20141114000001 警察当局は、京大の彼らが所属するとされる…