あしべの自由帳

芦部ゆきとが言いたいことを書き綴るだけの、そんな「自由帳」です。

梶村秀樹『排外主義克服のための朝鮮史』を今こそ読むべき理由

honto.jp 1970年代に行われた梶村秀樹*1先生(1935-1989)の講演記録を一冊にまとめた『排外主義克服のための朝鮮史』は、朝鮮史の知識を網羅的に解説したものでありませんし、梶村先生が依って立つ学説の中には、最近の研究によってすでに否定されている見…

「平成の時代は戦争がなかった」という欺瞞

www.asahi.com 「平成の時代は戦争がなかったということが、一番重要だと思います。それは、日本国民が戦争の悲惨さを真剣に考え、対応してきたからだと思います」という天皇明仁氏の言葉に共感する日本国民は、おそらく少なくないでしょう。 たしかに、「平…

マイノリティの個人の尊厳は、ヘイトスピーチ対策法で初めて保障されるものではない。

はじめにお断りしておきますが、私はヘイトスピーチ対策法が不要だと言いたいのではありません。私が本稿で言いたいのは、マイノリティの個人の尊厳を保障するのは、法律ではなく憲法である、ということです。 もしかすると、「マイノリティの個人の尊厳は、…

差別が許される「理由」など、そもそもない。

www.asahi.com 朝鮮学校の授業料無償化除外について、安倍政権は「拉致問題の進展も見られず、(朝鮮学校が)朝鮮総連と密接な関係がある」ことを理由に正当化しています*1。おそらく、日本国民の多くはそれを「もっともな理由」だと感じているでしょう。 し…

「暴力を表現すること」と「暴力で表現すること」は、別のものである。

「セックスや暴力を描写した表現の自由を守るために、差別煽動表現は規制されてはならない」と言う人がいます。 「セックスや暴力を描写した表現の自由」が守られるべきであるのは、たしかにその通りです。しかし、だからといって、「差別煽動表現は規制され…

「嫌韓」という言葉を使うのは、もうやめよう。

はじめにお断りしておきますが、「『嫌韓』という言葉を使うのは、もうやめよう」というのは、「嫌韓」と呼ばれる日本人の態度や言動を批判してはならないということではありません。また、本稿で言いたいことは「『嫌韓』より『好韓』を」でもありません。…

本当に必要なのは、「復興」ではなく「再生」である。

www.nikkei.com 東日本大震災から8年。政府や国民にとっての最大の関心事は、やはり「震災からの復興」でしょう。 しかしながら、私は当たり前のように使われる「復興」という言葉に、いささか疑問をもっています。つまり、被災地にとって本当に必要なのは…

「日本はいつまで謝罪し、反省し続けなければならないのか」という問いは、ナンセンスである。

日帝による侵略戦争や植民地支配に関して、日本でしばしば言われるのが「日本はいつまで謝罪し、反省し続けなければならないのか」という言説です。おそらく、このように考えている日本国民は少なくないでしょう。 しかしながら、私が思うに、「日本はいつま…

「三・一運動」から100年を迎えて

今日3月1日は、日帝による植民地支配下の朝鮮の人民が、日帝による植民地支配からの独立を求めて立ち上がった「三・一運動」を記念する日である、「三一節」です。そして、本年2019年は、1919年の「三・一運動」から100年の節目の年です。 「三一節」につ…

「煽動機関」と化した、日本のマスメディアの頽落。

「日本製品買うな」まさかの条例案にソウル市民は… https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000148280.html news.tv-asahi.co.jp テレビ朝日がネット配信しているこの記事、「スーパーJチャンネル」の放送をネット配信用に編集したもので…

外国人参政権の実現は「外国人参政権の実現」ではなく、「完全な民主主義の実現」だ。

「外国人の人権問題」としてよく議論になるテーマの一つが、「永住外国人の参政権」です。これについて1995年2月28日の最高裁判決は、永住外国人の地方参政権に関して「法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講…

韓国国会議長に問われた「戦後民主主義」の欺瞞

www.bloomberg.co.jp 日本軍性奴隷問題について天皇の謝罪を求める文喜相韓国国会議長の発言は、戦後天皇制が戦前天皇制と非連続的なものではないことに鑑みれば(戦後天皇制を戦前天皇制は全く異なるものと考えている人も少なくないでしょうが、戦後天皇制…

マイノリティの人権は、マジョリティからの“ご褒美”ではない。

マイノリティの権利(もっとも、それは単なる権利ではなく人権ですので、以下ではマイノリティの権利=人権であるとして話を進めます。)について、マジョリティはしばしば「マイノリティは権利を認められたければ、多数の共感を得るべきだ」と言います。お…

日本軍性奴隷問題は「国家間の問題」ではない。

どうやら、日本軍性奴隷問題を日本と韓国の「国家間の問題」と捉えている人が少なくないようです。 もっとも、日本のマスメディアの報道に接していれば、そのように捉えてしまうのも無理はないのかもしれません。しかし、「国家間の問題」と捉えるのは、日本…

株式会社FMGによる韓国人スタッフに対する人権侵害に、断固抗議する。

チェジュ航空の日本協力企業「慰安婦後援ブランドのカバン持つな」 | Joongang Ilbo | 中央日報 https://japanese.joins.com/article/641/249641.html この事件、卑劣な、あまりにも卑劣な、人間の尊厳に対する蹂躙です。 韓国・中央日報に記事によれば、空…

「徴用工」は、日帝による植民地支配の問題である。

「徴用工問題」について、「単なる悪徳企業とそれに搾取された労働者の問題なのに、どうして日本政府がこれに介入するのか」といった声がよく聞かれます。たしかに、先般の徴用工訴訟は国家間の紛争ではなく、日本企業とその被害者の間の紛争という民事紛争…

辺野古新基地建設は、「環境保護」と「沖縄の民意」の問題でしかないのだろうか?

mainichi.jp まず、はじめにお断りしておきますが、私は、辺野古新基地建設が「環境保護」と「沖縄の民意」の問題であることを否定するつもりはまったくありません。辺野古の豊かな海を破壊し、「沖縄の民意」を踏みにじる日本政府の暴挙を許せない気持ちは…

「日韓関係」に隠された、「新しい植民地体制」の問題。

japan.hani.co.kr いわゆる「日韓問題」に関してしばしば言われるのが、上掲したハンギョレのコラムで山口二郎・法政大学教授が述べているような「東アジアの平和のためには日韓両国が協力することが不可欠である」という言説です。一見して穏当で“リベラル”…

「徴用工問題」の真の解決に必要な「具体的な解決策」

www.asahi.com 「徴用工問題」について、まず確認しておかねばならないことは、あくまでも加害者は日本企業である、ということです。しかるに、なぜ朝日新聞の牧野愛博氏は、なぜ文在寅大統領が年頭の記者会見で「具体的な解決策」な解決策を示さなかったこ…

「レーダー照射問題」は、ほかならぬ日本自身の問題である。

[コラム]韓日間レーダー照射論争の自画像 : 社説・コラム : hankyoreh japan 日本では、昨年の暮れから連日のように報道されている「レーダー照射問題」。この問題に関する日本国民の関心は、おそらく「日本が正しくて、韓国が間違っている」かどうかとい…

「政治の話」ではなく、「人権の話」だ。

www.nikkan-gendai.com そもそも、「芸能人は政治的発言をしてはならない」というのがどうかと思いますが、それはさておき、私は辺野古新基地建設問題を「政治の問題」と捉えることに、どうしても違和感を覚えます。 辞書的な定義によれば、「政治」とは「あ…

米軍辺野古新基地建設は、“民意”の問題ではなく人権の問題である。

ryukyushimpo.jp まず、はじめにお断りしておきますが、私は沖縄県民の“民意”を無視した日本政府の暴挙を、決して擁護するつもりはありません。 しかしながら、米軍辺野古新基地建設を“民意”の問題として議論することには、どうしても違和感を覚えてしまいま…

日本の「負の歴史」の問題は、政治や外交の問題ではない。

「日本人」のなかには、日本による侵略や植民地支配といった日本の「負の歴史」の問題を、政治や外交の問題だと考えている人が少なくないようです。そして、政治や外交の問題であるから、自分には関係のないことだと彼らは考えているようです。 しかし、私は…

「表現の自由」は、なぜ人権として憲法で保障されているか。

「表現の自由」が人権として日本国憲法で保障されていることは、多くの人の知るところだと思います。 それでは、なぜ「表現の自由」は、人権として憲法で保障されているのでしょうか。それは、単に「自由」だから保障されているのではありません。人権として…

日帝強制動員歴史館を見学しました。

過日、韓国の釜山を旅した私は、国立日帝強制動員歴史館*1を見学しました。 ご存知のように、昨今の日本では、日帝による加害の歴史を正当化する歴史修正主義が大手を振ってまかり通っています。 先般の徴用工訴訟判決に関しても、安倍首相は「徴用工でなく…

「韓国大法院の判決は請求権協定に反する」という日本政府の主張は、どこが間違っているか。

ご存知のように、先般韓国大法院が出した徴用工裁判の判決に関して、日本政府は「韓国大法院の判決は、日韓請求権協定に明らかに反する」と主張しています*1。そして、日本の多くのマスメディアも国民も、政府の主張を疑おうともせず「韓国大法院の判決は、…

「ヒロシマ・ナガサキ」は、「忘れる」ためのものではない。

[社説]BTS騒ぎに映った韓日関係の悲しい姿 : 社説・コラム : hankyoreh japan 防弾少年団(BTS)のメンバーが着用していたTシャツが原爆投下を正当化するものだというのは誤解(というよりも、むしろ曲解)ですが、しかし、この問題の背景に韓国に…

徴用工訴訟判決をめぐる問題について

「徴用工訴訟判決をめぐる問題」を問うと、おそらく日本国民の多くは「(韓国大法院が出した)判決そのものに問題がある」と答えるでしょう。そして、安倍首相や河野外相に倣って「国際法違反だ」と言うかもしれません。事実、日本では安倍首相の「今般の判…

徴用工訴訟判決と、日本の“リベラル”メディアの終焉。

www.asahi.com 朝日新聞のこの社説ですが、徴用工や日本軍性奴隷被害者といった日帝による植民地支配の被害者に対する抑圧の上に成り立ってきた、新植民地主義的な「日韓関係」が維持できなくことばかり憂慮し、被害者の人権救済など「日韓関係」の維持に比…

差別は「人間の本性」の問題ではない

「差別は人間の本性に根ざす現象なのであるから、差別があるのは仕方ないことだ」と言う人がいます。 たしかに、人間誰しも「差別心」を抱いたことは一度ならずともあるでしょう。しかし、差別を「人間の本性」の問題と捉え、「差別があるのは仕方ないことだ…